ロジスティクス自由民主党トラック輸送振興議員連盟総会が9日開催された。総会には議連に所属する国会議員が多数出席したほか、全日本トラック協会(全ト協)から寺岡洋一会長、水野功副会長、御手洗副会長、坂本克己最高顧問ら業界幹部が顔をそろえ、国土交通省、経済産業省、財務省、厚生労働省、資源エネルギー庁などの幹部を交えて、トラック運送業界の死活問題に直結する最重点要望事項について熱い議論を交わした。
冒頭、役員人事案が諮られ、満場一致で承認された。新体制では、幹事長から新たに議連会長代行に就任した赤澤亮正経済産業大臣らを擁し、当面の運営をスタートさせることとなった。
挨拶に立った自民党衆議院議員の加藤勝信議連会長は、「先行きが不透明な中東情勢を注視しつつ、事業の安定展開を強力に支援する」と強調。また、成立した「物流効率化法」の成果や、2028年6月の施行に向け準備が進む「トラック適正化二法」に触れ、「適正原価をどう算出するかなどの議論を着実に進め、新たな時代の幕開けに向けて一歩一歩前に進めていきたい」と、力強い決意を述べた。

▲全日本トラック協会会長の寺岡洋一氏
続いて全ト協の寺岡洋一会長が壇上に立ち、ことし3月31日に議員立法で成立した「運輸事業振興助成法」の改正に言及。「長年の悲願であった軽油の暫定税率廃止が実質的に実現し、活動原資である交付金制度も5年間維持されることとなった。これは業界にとって歴史的な喜びであり、議連の先生方のご尽力の賜物である」と謝意を述べた。
その後、全ト協より、「燃料等の安定供給及び価格高騰への対応について」、「道路関係要望事項について」、「税制改正関係要望事項について」の3つの最重点要望事項が説明された。
まず「燃料等の安定供給及び価格高騰への対応について」では、米国や中東情勢の依然として不透明な状況を踏まえ、引き続き軽油やエンジンオイル、尿素水などの石油関連商品を安定的に確保できる環境整備と、激変緩和措置の継続を強く要望した。さらに、荷主などに対する軽油価格高騰分の適正な転嫁や、燃料サーチャージの導入促進に向けて、業種間格差を施政するための継続的な支援を求めた。
次に「道路関係要望事項について」として、ドライバーの拘束時間短縮や働き方改革の実現、高速道路の「大口・多頻度割引の拡充措置の延長及び実質50%割引への拡充」(NEXCO3社)を要望した。また、平常時や災害時を問わず安定した輸送を確保するための物流基盤の整備として、暫定2車線区間の4車線化推進、ミッシングリンクの解消、渋滞対策といった高速道路ネットワークの着実な整備・充実を主張。加えて、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)や道の駅における駐車マスの幅拡大を含む駐車スペースの整備・拡充、高速道路の一時退出可能措置の拡充、そして中継輸送の推進などを強く訴えた。
最後に「税制改正関係要望事項について」では、「走行距離課税」をはじめとする営業用トラックへの新たな税負担の導入に対して断固反対する姿勢を明確に表明した。あわせて、車両総重量3.5トン以上の普通貨物自動車を対象に、法人税において30%の特別償却または7%の税額控除を適用することで中小事業者の車両代替等の投資促進に極めて大きな貢献を果たしている「中小企業投資促進税制」について、2027年3月末の適用期限を前に、その延長措置を強く求めた。

▲国土交通省大臣官房総括審議官の岡野まさ子氏
全ト協の要望を受け、国土交通省の岡野まさ子大臣官房総括審議官から説明が行われた。価格転嫁と燃料供給に関しては、すでに3月に荷主団体への価格転嫁の徹底要請を実施済みであり、今後は5月に成立した改正物流効率化法に基づき、保管機能を有する中継拠点の整備や中継輸送を推進するとともに、中小企業投資促進税制の延長についても関係省庁へ強く要望していく方針を示した。
さらに、トラック適正化二法の目玉である「適正原価制度」に向け、全ト協を交えた「有識者検討会」の第1回を来週に開催予定であることを報告。あわせて、閣僚級の物流政策推進会議の下部組織として、局長級や業界幹部などからなる「物流政策推進関係者会議」も同じく来週に設置・初開催し、適正原価や中継輸送のあり方についてスピード感を持って議論を進めていくとした。また、毎年実施しているドライバーの拘束時間調査の結果を近く公表する予定であり、拘束時間が短縮傾向にある好事例が示される見込みであると言及した。
道路関係要望事項に対する高速道路割引については、26年度分の拡充措置を25年度補正予算で措置して現在実施中であり、27年度分についても今後の概算要求の中で検討を進める考えを説明した。
また、物流基盤となるインフラ整備に関しては、暫定2車線区間の4車線化をNEXCO各社において計420キロ区間で事業実施中であることを明かした。大型車用の駐車マス拡充についても、昨年度(25年度)は全国21か所・およそ450台分の整備を完了しており、本年度(26年度)は全国23箇所・およそ520台分の増設工事を鋭意進行中であると報告。高速道路の利用が生産性向上に不可欠であるとの認識を共有し、今後もネットワーク整備に尽力していくとした。
総会後半は、現状の課題を浮き彫りにする極めて具体的な意見交換が行われた。議連からは、「地元事業者から、インタンク(自家用給油所)へ給油する際、業者から『請求は月末の値段で』と言われ、月末まで最終的な価格が分からないため極めて不安だという声がある。何か対応できないか」と、現場の切実な声が代弁された。
これに対し、資源エネルギー庁担当者は、「店頭価格(ガソリンスタンドなど)は激変緩和措置により158円-159円程度で安定キープしている。インタンク価格は3-4月にかけて高止まりが見られたが、5月以降は概ね店頭より10円-15円低い水準で安定取引されていると認識している。価格不安は解消されつつあると考えているが、個別具体例があれば流通構造を把握し、個別に調整したい」と回答し、個別事例の収集・是正に協力する姿勢を示した。

▲全ト協副会長で道路政策担当の御手洗安氏
全ト協の道路政策担当である御手洗安副会長は、高速道路料金の引き下げについて大胆な提言を行った。 「高速道路の用地費9.5兆円が債務償還スキーム(残債25.3兆円)の中で考慮されていない。国が土地を買い上げれば、劇的な値下げが可能。また、NEXCO各社は西日本が5000億円超を保有するなど多額の現預金を抱えており、独法(返済機構)に利益が溜まる構造になっている。アクアラインを4000円から800円に下げて地方やインフラが活性化した例を見ても、料金引き下げの余地は十分にある」と指摘。
さらに自転車の安全対策についても言及し、「車道走行義務化により、狭い道路で側方1.5メートルを確保できず、転倒接触や、ドライバーが気付かぬまま事故に巻き込まれるリスクが高まっている。歩道走行の許容などルールを柔軟に見直してほしい」と求めた。

▲赤澤亮正経済産業大臣
これに対し、国交省道路局からは、 「民営化時の債務40兆円は順調に償還が進んでいるが、現行スキームでは用地費を含めて償還する枠組み。NEXCOの現預金は、新名神などの事業進行に伴う借入金などによる見かけ上の数字であり、余剰資金ではない」と理解を求めた。自転車対策については、車道整備を進めつつ、「危険箇所については警察と協議し、歩道を走行できるルールの周知・確保に努めたい」との回答があった。
さらに議連からは、適正原価の実現スケジュールに関する踏み込んだ質問があり、国交省の岡野審議官が「来週に第1回有識者検討会と関係者会議を立ち上げ、周知期間を十分確保した上で速やかに告示を目指す」旨を再確認した。

▲片山さつき財務大臣
片山さつき財務大臣(議連副会長)は、走行距離課税について、国会答弁やテレビなどで「検討していない」と重ねて明言しており、事業者が困るような事態は絶対に作らないと強調した。また、経済安全保障上の観点から「軽油だけでなく、アドブルーや尿素の確保、サプライチェーンの強靭化への投資をしっかりと進める」と言及し、中小企業投資促進税制の延長についても理解を示した。
さらに、赤澤亮正経済産業大臣(議連会長代行)は、「日本の経済を支えているのは、大黒柱であるトラック輸送だ。これが根本認識」と力説。一時期に比べて燃料などの相談件数は減少しているものの、流通の目詰まりを一つ一つ解消し、災害時の物資輸送も含めて業界を全力でサポートすることを約束した。

▲上野賢一郎厚生労働大臣
続いて挨拶に立った上野賢一郎厚生労働大臣(議連会長代理)は、「立て続けに重要な法案が成立したが、ここからが本番。着実な施行ができるよう、またドライバーの働き方関連の課題についても、厚労省としてもしっかり応援していく」と、今後の支援に向けた強い決意を語った。(土屋悟)
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