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東京海上日動、外航貨物保険金請求でBC技術実験

2017年11月13日 (月)

産業・一般東京海上日動火災保険とNTTデータはこのほど、共同で外航貨物保険保険金請求にブロックチェーン技術を適用していくための実証実験を開始した。

保険金支払い手続きで必要となる保険証券、事故報告書、貿易関連書類などを電子化してブロックチェーン上に流通させることで、情報共有をリアルタイム化し、書類ミス低減や支払い対応までの時間を短縮できるかどうかを検証する。

保険金支払い手続きで必要なドキュメントをブロックチェーンを用いて流通させることにより、支払い手続きスピードや正確性が高まることから、東京海上日動では「保険金支払い期間短縮や郵送コストなど削減が期待できる」としている。

今回の実験では、貨物損傷写真など文字以外の情報もリアルタイムに共有できる仕組みの技術検証を進める。外航貨物海上保険の保険金請求にブロックチェーン技術を適用するのは国内初の取り組みで、国際的にも珍しい。

東京海上日動がこうした取り組みを進める背景には、外航貨物海上保険特有の保険金支払い体制がある。同保険の保険金請求では、保険証券が貨物とともに流通するため、必ずしも契約した保険会社が保険金支払業務を行うわけでなく、特に海外では輸入者が現地で事故通知から保険金受領まで行えるよう、保険会社が提携する海外クレーム代理店が保険金支払い手続きを担っている。

海外クレーム代理店が保険金支払い手続きを実施する際には、紙などの事故報告書、貨物損傷写真、インボイス(商業送り状)といった貿易関連書類や保険証券を収集する必要があり、さらに保険会社へ補償内容をメールなどで確認しなければならないため、「世界中に点在する貿易関連書類と最新の保険証券収集を海外クレーム代理店がいかに素早く正確に実施できるか」が、迅速な保険金支払い手続きの課題となっている。

今回の東京海上日動とNTTデータによる実証実験は、情報共有のリアルタイム化が求められる課題に正面から取り組むもので、2016年度に実施した「外航貨物保険証券のブロックチェーン化」で登録された保険証券を、海外クレーム代理店が参照できるかを確かめる。

また、インボイスやB/L(船荷証券)、輸入者側の保険金請求に必要なほかの書類もブロックチェーン化し、実現の可能性を検証。11月から実証実験を開始し、保険金支払い手続きに必要なドキュメントをブロックチェーン上に流通させる上で欠かせない、国際的なステークホルダーの協力を得て実用化につなげていく考え。