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凸版印刷、450度の超耐熱ICガラスタグ試作品を完成

2010年9月13日 (月)

話題凸版印刷は13日、450度の高温に耐える超耐熱ICガラスタグの試作品を世界で初めて完成した、と発表した。ICチップを限りなく真空に近いガラスの中に封止加工する技術を確立し、これまでのICタグの約2倍となる450度の耐久性を実現した。作業中の振動や衝撃にもガラスが破損しない、2次加工技術の開発をしており、2011年度の量産化を目指している。

 

日本海事協会、新来島どっくは共同研究事業として、船舶の建造現場へ適用可能な作業性と、耐久性・耐熱性をあわせ持つICタグを開発するために「耐熱無線通信タグ(溶融亜鉛めっき適用可)研究開発」に取り組んでおり、同事業に凸版印刷も参画している。今回の試作品は、共同研究事業からの依頼を受け、日本板硝子の技術協力を得て行った。

 

造船業界では部材の品質管理と効率的な運用のために、高い耐久性と耐熱性のICタグが求められていた。船舶には6000-10000本の造船パイプが使われており、半数以上に防食を目的とした「溶融亜鉛めっき処理」が施されている。めっき処理前までは、印字や刻印による固体識別ができるが、処理後は表面がめっきで隠れるため、部品名(固体識別番号)が不明となり、作業者は形状・寸法などを手がかりに、目視による仕分けをしている。造船パイプの仕分け現場では、1本あたりの仕分けに5分程度の時間を費やしているが、ICタグを使うことで、1分以内の仕分けが実現可能になり、人為的ミスも大幅に解消できる見込み。

 

ICタグは、もともとメーカーの保証温度が100度程度であることから、チップを耐熱保護加工しても約200度程度の耐熱が限界だったため、450度近い温度が発生するめっき処理の環境下でICタグを利用することはできなかったが、ICタグの中身を限りなく真空に近づけることで、耐熱性を向上、450度の耐久性を実現した。

 

凸版印刷では、造船業界だけでなく、自動車、建設機械業界など「過酷な環境下」でのICタグ利用を検討している業界に向け、11年度の量産化を目指す。