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清水建設、日本最大のクレーン船で「一夜城作戦」

2014年5月16日 (金)

産業・一般清水建設、日本最大のクレーン船で「一夜城作戦」清水建設は15日、浅田組との共同企業体(JV)が施工中の九島大橋坂下津側橋脚で、陸上の作業ヤードで製作された重量3300トン、高さ32メートルのコンクリート製巨大橋脚を日本最大のクレーン船で揚重し、宇和島湾内の所定の位置まで曳航した上で一括据付を行うと発表した。

こうした工事は珍しく、同社では「あたかも一夜城を築くように巨大橋脚の据付がわずか半日で終了する」と説明している。また、九島側の橋脚(鹿島JV)も、同じ工法によって5日後に施工される。

この工事は、宇和島湾に浮かぶ離島の九島と内地の坂下津地区を結ぶ長さ468メートルの九島大橋を支える2基の橋脚のうち、1基を建設するもの。清水建設JVは、昨年1月に坂下津側の橋脚工事を受注、15日の一括据付に向けて準備を進めてきた。工期は来年3月まで。

通常、水中での橋脚建設は、仮設の鋼製板などで建設場所の周囲を締切り、排水した後に工事に着手するが、今回は水深が30メートルもあり、仮設の締切り工事が大掛かりになることから、工期とコストを踏まえて陸上で製作した橋脚を一括据付する工法を採用した。

坂下津側橋脚の規模は、柱部が6メートル角・高さ27メートル、底盤部が18.7メートル角・高さ5メートル。一括据付するのは、陸上で製作した柱部と一部の底盤で、自重3300トン、ワイヤーなどの吊具と合せた総重量は3600トン。

清水建設、日本最大のクレーン船で「一夜城作戦」2橋脚自体は、地元業者により坂下津公共岸壁に設けた作業ヤードで製作され、3月末に完成。橋脚製作と並行して、清水建設JVは橋脚の据付地点の海底に、直径1.5メートル、長さ59メートルの鋼管杭28本を打設。うち、26本は海底面付近で切断、残りの2本は切断せず杭頭を海上面に出しており、一括据付時にはこれら2本の鋼管をガイドにして橋脚を海中に沈設、底盤中央部の4本の鋼管杭で仮受けする。

いずれの鋼管杭も、位置・打設長ともミリ単位の施工精度が求められたが、すべてクリアしているという。

15日は、まず午前6時10分に大型クレーン船により作業ヤードに仮置きしている巨大橋脚を吊り上げ、1.8キロ離れた据付地点までの曳航を開始。橋脚の据付地点への到着は8時10分頃、据付(沈設)作業の着手は9時30分頃、橋脚の自立は12時頃となる見通し。その後、吊具の撤去作業などを経て午後2時30分頃、クレーン船が据付ポイントを離れる。

橋脚と杭を一体化させる底盤の構築作業には6月初旬に着手し、2週間かけて底盤部にコンクリートを1400立方メートル打設する。コンクリートを流し込むための鋼製型枠は、橋脚にセットして海中に吊り込む。底盤用のコンクリートには、海中でも打設できる水中不分離性コンクリートを採用。清水建設JVでは、実物大の底盤型枠を一部製作し、水中不分離性コンクリートの打設試験を行っており、打設方法や充填性、品質は確認済み。

15年3月までに坂下津側橋脚を完成し、引き渡しを終える。九島大橋全体の完成は16年3月。