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精密機器のコンテナ遠距離輸送が可能に

日通総研、新開発の緩衝・防振コンテナが優秀賞受賞

2014年5月29日 (木)
コンテナに設置された緩衝バッファの上下伸縮で荷役時の衝撃を吸収

コンテナに設置された緩衝バッファの上下伸縮で荷役時の衝撃を吸収

認証・表彰日通総合研究所は29日、日本マテリアル・ハンドリング(MH)協会主催の第24回日本MH大賞で、ロジスティクスコンサルティング部の陳麗梅研究主査による「緩衝防振海上コンテナの開発と運用」(日本通運重機建設事業部と共同開発)が優秀賞を受賞した、と発表した。

国内で初めてコンテナ船で精密機械・装置を運べる海上コンテナを研究開発し、運用試験を行って実用化したこと、梱包コストを削減し、環境に配慮していること、日本の海上コンテナ輸送の技術力を海外に広く知らしめ、物流生産性の向上にも寄与できること——などが評価され、受賞に至った。

)空気バルーンがコンテナ内部の床を持ち上げ、輸送中の振動を吸収

)空気バルーンがコンテナ内部の床を持ち上げ、輸送中の振動を吸収

これまで、精密機械は衝撃の大きさがネックとなってコンテナ船で運搬することができず、航空機かRORO船を利用するしかなかったが、航空機はコストが高く、輸送スペースが限られるなどの問題が、RORO船は航路が限定されるため、近距離しか輸送できず、スケジュールも限られることから輸出できる地域が限定されるといった課題があった。

また、輸送時の衝撃を和らげるため、厳重な梱包が必要で梱包コストがかさむことも大きな問題となっていた。

中国福州側の輸入風景

中国福州側の輸入風景

そこで、日通総研は日通重機建設事業部と共同で、海上コンテナ自体に緩衝・防振機能を装備し、海上コンテナによる精密機器の輸送を可能にするという新たな発想により「緩衝・防振海上コンテナ」を開発した。

日通総研が開発した緩衝・防振海上コンテナは、コンテナに設置された緩衝バッファの上下伸縮で荷役時の衝撃を吸収し、輸送時も空気バルーンがコンテナ内部の床を持ち上げて振動を吸収する。

研究から実験を行い、4年を経て昨年10月から実運用を開始し、日通重機建設事業部がことし3月までに液晶生産ラインの心臓部である露光装置を横浜港から中国福州まで、このコンテナを利用し、運搬、設置した。

輸送の全過程で、これまでであれば10G以上となる場合がある衝撃振動加速度を、1.5G以下へと大幅な改善に成功。これにより、木枠梱包が不要、梱包時間の短縮、梱包コストの削減、木枠開梱時のダメージの回避、エアサスシャーシーが不要など、荷主に大きなメリットを提供することができるようになった。

また、緩衝防振コンテナの導入で遠距離への輸出が可能となり、販路の拡大も可能となった。