拠点・施設アマダは8日、米国カリフォルニア州のブレア市に新工場を建設し、レーザ加工機の生産を始めるとともにパーツセンター(PC)を開設すると発表した。アマダアメリカ本社展示会場をエンジニアリング志向のテクニカルセンター(TC)として開設し、改めて北米市場の拡大に乗り出す。新興国からの回帰などで活性化が進む米国産業への対応に加え、円高など為替問題の回避が目的。
同社は、日本とフランスの2極で進めてきた生産体制に米国と中国を加えて4極体制とし、それぞれの地域に即した生産・販売・サービスを構築する事業再編計画を策定しており、その第1弾として建設する。
2012年4月の稼動で、工場、PC、TCの三者が一体となってエンジニアリング力を発揮する「エンジニアリング・ファクトリー」として運営する。新工場は年間250台の生産能力を持つ工場で、アマダの新たな米国戦略がスタートする。総投資額は60億円。
建設する工場は鉄骨平屋で、製缶板金加工、レーザを中心としたマシン、周辺装置の組立、溶接、塗装などの工程を置くエリアと物流、システムアップ工程のあるエリア、事務棟という構成。建設延床面積は約1万4300平方メートル。投資額は40億円。
アマダは新工場の建設を進める一方、7月からアマダアメリカ本社に隣接した周辺装置工場(ラ・ミラダ市)でレーザ加工機「FO-MII」の試作を月2台のペースで開始、製造再開の準備に入る。工場が完成する2012年4月からは月産台数を5台、以後生産機種を拡大する。2013年1月からは月産15台へと高め、2013年中にレーザマシン250台の生産体制を確立する。
新工場は、日本からのモジュール部品の供給を受けて生産、日本国内の生産機種と同じQCD(品質、コスト、納期)を維持すると同時に現地化率50%以上をめざす。市場はアメリカ、カナダ、メキシコで、将来的には南米にも供給する考え。
また、本体と同時に周辺機器、部品の提供もエンジニアリングにとって重要な要素であることから新工場の建設と並んで工場隣接地に鉄骨平屋、延べ床面積約5000平方メートルのパーツセンターの建設を進める。完成は2012年4月。工費は10億円。
エンジニアリング・ファクトリーとして建設する新工場の成否を握るテクニカルセンターをカリフォルニアのブエナパーク市に設置する。2008年10月、シカゴにアマダアメリカソリューションセンターinシカゴ(シャンバーグ市)が完成するまで北米の主力展示場として使用してきたアマダアメリカの施設を10億円かけて改築、2012年4月までに完成させる。鉄骨平屋で延べ床面積5200平方メートルの規模。ここに北米の顧客の要望に対応できる知能化、自動化されたマシンをシステムアップし展示、アマダの最新技術を訴求していく。
このテクニカルセンターを「ロサンゼルステクニカルセンター」(LATC)と名付け、シカゴのソリューションセンターが遠い、特にアメリカ西部地区の顧客に向けソリューション提案を行っていく。具体的には、プレスブレーキ、パンチング、レーザ、ソフトなど地域ニーズに対応できる商品別ソリューション提案に加え、工場全工程のエンジニアリング提案も実施し、成約に結びつける。また、ローカル商品開発情報のフィードバックも大きな役割。
顧客の加工視点に立った提案型エンジニアリング活動を強化するとともに「本体」+「自動化装置」+「ローカル調達周辺機器」+「部品」を一括管理するロジスティックを導入して顧客満足度を高め拡販を図る。2010年の北米売上は2億5000万ドルだが2012年の売上目標額は3億5000万ドル。2015年には北米で売上倍増の5億ドルを目指す。
北米では新興国からの製造回帰、EV、ECO、鉄道インフラ関連産業の芽吹きなどからロサンゼルスにレーザマシンの生産を中心にした新たな顧客対応施設が必要となり、工場建設に踏み切ることにしたもの。新工場を建設するブレアとテクニカルセンターを置くブエナパークは車で15分程度の距離にあり、連携した活動が可能、としている。