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全ト協が転嫁実態調査、「まったくできていない」3割弱

燃料高騰分の収受、荷主との情報共有が分かれ目

2014年12月1日 (月)

ロジスティクス全日本トラック協会は12月1日、燃料価格高騰分の転嫁に関する実態調査結果を公表した。回答事業者217社のうち、「真荷主からの燃料サーチャージ、燃料高騰分の運賃の収受状況」については72.4%が「一部でも収受できている」と回答したものの、まったく収受できていない元請事業者が27.6%に上った。

また、燃料サーチャージの導入要請を行った事業者は32.3%、運賃の値上げ要請を行った事業者は68.7%となったが、実際に収受できている真荷主の割合は3割以下が48.6%を占め、割合が多くなるほど回答者数が少なくなった。さらに、「必要と考える額のうち実際に収受できている割合」に至っては、3割以下が53.5%と過半数を占め、7-10割との回答は9.6%にとどまった。

一部でも収受できている事業者が「収受できた要因」としては、「運送会社の実情、原価などをきちんと理解し、厳しい状況を理解されているため」との回答が81.5%を占め、次いで「社会情勢の変化(全体的に運賃が値上げ傾向にあるなど)によるもの」が58%、「長年の取引による信頼関係があるため」が52.2%――となった。

逆に、収受できなかった要因としては、「真荷主が自分の取引先(着荷主)から燃料高騰のコスト増分の転嫁を受けていないため」が52.2%と最も多く、「真荷主の経営状況が厳しいため」(44.6%)、「一層の自助努力を求められるため」(33.1%)が続いた。

この結果について、全ト協は「収受できた要因の1位と3位、収受できなかった要因の3位の結果から、トラック事業者の取り組みも重要なことが分かった」と指摘し、自社の経営努力の取り組みや経営状況、事業環境など、荷主との情報共有が「収受できたかどうか」の分かれ道になった可能性を示唆した。

次に、荷主から転嫁分を収受できている元請事業者の下請事業者に対する状況としては、下請事業者から「燃料サーチャージの導入要請があった」との回答は26.8%、「運賃の値上げ要請があった」が71.3%となったものの、「いずれもない」も20.4%存在した。

また、元請事業者が下請事業者に燃料高騰分を支払っていない理由としては「協力会社(下請事業者)から支払要請を受けていないため」が過半数の51.4%を占めた。「燃料サーチャージは自社の営業努力により、荷主交渉の結果で収受できた料金だと考えているため」(17.1%)、「自社の利用運送にかかる事務経費に充当するため」(14.3%)といった回答も一定数見られた。

元請事業者が荷主から収受できていない場合、下請事業者による元請事業者への要請率も低く、燃料サーチャージと運賃の値上げ要請を「いずれも(受けてい)ない」と答えた元請事業者が65%に上った。この場合、「下請事業者に燃料高騰分を支払っていない」との回答が88.3%もの割合を占めた。

こうした実態について、全ト協は「元請事業者への要請が重要であることが分かった」と結論づけている。