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川崎汽船・朝倉社長、財務体質強化「ほぼ計画通り」

2015年1月6日 (火)

ロジスティクス川崎汽船の朝倉次郎社長は、5日発表した年頭所感の中で今期の業績状況に言及し、市況の改善や燃費削減によって有利子負債の削減が順調に進んでいることを強調した。中期計画に掲げる財務体質の強化も「ほぼ計画通り」達成できるとの見通しを示した。

朝倉社長による年頭所感の要旨は次の通り。

朝倉社長の年頭所感(要旨)

当社グループの業績は、円安と燃料価格下落の追い風が吹き、上半期に運賃市況が好転したコンテナ船事業で当初見込みを上回る業績を上げ、同業他社との比較においても収支は大幅に改善した。不定期専用船部門では、自動車の輸送台数減少やドライバルクの市況低迷が続き、業績は前年同期を少し下回る結果となったが、引き続き経営を支える屋台骨として重要な役割を果たしている。

下期に入ってタンカー市況の改善傾向が明らかとなり、好調なLNG、LPG船を含めたエネルギー資源輸送部門の業績向上が期待される。この3年間続けてきたコスト削減への全社的な取り組みも業績回復の支えとなった。

とりわけ燃費管理室が中心となって全社的に徹底した省燃費運航は、燃料費の大幅な削減という果実をもたらすとともに、温室効果ガスの排出減少につながった。これらの活動の結果、気候変動情報開示・パフォーマンス先進企業として専門の国際団体から初めて選定された。

また、管理部門主導による投資の厳選も、結果として経営基盤の強化につながった。当期を含む過去3年にわたるフリーキャッシュフローの黒字によって、当社グループの有利子負債削減は順調に進む。こうした努力の積み重ねで財務体質の強化は、ほぼ計画通り達成する見込みだ。

財務体質の改善するために投資は慎重なスタンスが必要だったが、将来への布石として必要と判断した投資を実行。3月以降18年にかけて主要な事業セグメントに当社の有力な新鋭船が順次、竣工していく。既に公表済のものとして、1万4000個積み大型コンテナ船10隻、大型建機や鉄道車両の輸送などのマーケットニーズを想定した仕様の7500台積み大型自動車船10隻、ドライバルク船25隻など。

これらは、燃費と輸送効率に劣る既存船を新鋭船に入れ替えることを目的としたもので、環境保全に配慮した最新鋭省エネ船による運航コストの削減とユニット当たりの資本費低減を実現し、当社の価格競争力の向上を図る。

エネルギー資源輸送は、既に発注済の5隻のLNG船と並んでいくつかの追加プロジェクトへの参画を検討している。将来の成長戦略分野である海洋事業については、オフショア支援船の事業拡張やFPSOなど、新規事業への参入に向けて積極的に取り組んでおり、具体的に前へ進む案件も間もなく出てくる。今後も、多方面から慎重な検討を重ねた上で、一定のリターンが見込まれると判断した成長分野への投資は惜しまない方針だ。