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川崎汽船、朝倉新社長がメッセージ

2011年5月24日 (火)

話題川崎汽船は23日、前社長の辞任により急きょ社長に就任した朝倉次郎新社長のメッセージを同社ホームページに掲載した。

 

朝倉新社長は「全員で新たな挑戦を!」と題したグループの役職員向けメッセージの中で、突然の社長就任となったことについて「慌しく社長のバトンを受けたが、我が社に立ち止まる時間はない。速やかに引継ぎを受けて、東日本大震災の影響をはじめ、眼前に広がる困難な問題を克服し、同社の定めた目標に向かいフルスピードで舵をきっていきたい」と強調している。

 

朝倉新社長のメッセージ全文は次の通り。

 

「5月13日開催の取締役会にて、黒谷前社長のあとを受け社長の職責を担うこととなりました。前社長におかれては一身上の都合により急遽退任されたため、慌しく社長のバトンを受けましたが、我が社に立ち止まる時間はありません。速やかに引継ぎを受けて、東日本大震災の影響をはじめ、眼前に広がる困難な問題を克服し、当社の定めた目標に向かいフルスピードで舵をきっていきたいと考えています。

 

副社長・専務のときにはバルク・人事・エネルギー部門を管掌していましたが、今後は社長としての立場から全体をバランスよく鳥瞰した上で、最善の事業ポートフォリオの構築に努め、収益性と経営効率改善に全力を尽くす所存です。ケイライングループの力強い牽引役を果たすべく、専心職務に精励し、社業の興隆をはかる所存ですので、あらためましてグループ内の役職員のみなさまのご協力をここにお願いいたします。

 

おりしも四月末、当社は新中期経営計画『”K”LineVision100-新たな挑戦-』を発表いたしました。リーマンショック後の世界経済の低迷に直面し、緊急対策を実施するとともに、激変した事業環境に対応してきたのが2010年1月に発表した”K”LineVision100KV2010でした。その後世界的に景気は徐々に回復に向かい、黒谷前社長の指揮の元、コンテナ船事業を中心に業績は急回復、KV2010の当初目標であった2010年度の黒字化と早期復配を達成することができました。これはコンテナ船市況の回復もありましたが、役職員全員が復活に向けて不断のコスト削減や構造改革の努力を惜しまなかったからこそ達成出来たものであり、この場をお借りして感謝申し上げます。

 

今回の新経営計画は従来のものを更に深化させ、新たな挑戦と題して市場構造の変化や新興国の成長をいち早くとりいれて新たな成長分野への戦略投資を進めて行こうというものです。総花的な拡大路線から質的な転換を図り、安定収益基盤を確立するとともに財務基盤の強化を目標としています。

 

震災の影響では一時的に日本出し完成車の荷動きが減少、また夏場の電力供給の懸念もあり、現時点において今後の回復度合いを予想することは非常に難しい状況です。また、バルク、タンカーにおいても一部の製鉄所、石炭火力発電所や製油所が被災し、完全復旧までの間、日本向け貨物輸送需要の伸び悩みが懸念されます。しかしながら、これらの影響は一時的なものであり、悲観する必要はありません。

 

このように、震災の影響に関しては当社グループにおいても一時的には打撃を免れませんが、中長期的には必ず克服できるものであります。私たちが今取り組まねばならないことは、日頃お世話になっているお取引先に対し一日も早い復興へ全面的に協力して行くことであり、その積み重ねが日本経済の再生に繋がって行くと確信しております。

 

2003年以降中国、インドなどの新興国の急成長により海上貿易量が急増し、外航海運は船種を問わず市況上昇の恩恵を受けましたが、その後100年に一度という金融危機を経て、海上荷動き、海運市況とも調整局面を迎えました。更に最近では従来の想定を大きく超えるような災害や、身近な問題としては円高、原油価格の高止まりによる燃料費高騰、アデン湾、インド洋海域における海賊行為の横行など、様々なリスクが高まっており、新たな経営課題としてこれらの変化に取り組まねばなりません。このように足元の事業環境は必ずしも良好とは言えませんが、中長期的には先進国経済の緩やかな回復と新興国の力強い経済成長に支えられ、船腹需要は今後も増加傾向を辿るとみています。私たちはこれらの変化を敏感に読み取り、スピード感を持って適切に対応することによって事業基盤をより一層強くすることが可能です。役職員各位の問題意識の向上並びに日頃からアンテナを張り巡らせて情報の吸い上げを御願いします。

 

また、私たちケイライングループは、いつの時代も難しい問題に直面すると全員でこれに立ち向かい、克服して行くことで少しずつ進化を遂げて来ました。逆風こそ自らを成長させる好機であると前向きに捉えて、当社グループの良き伝統である進取の気象を全員がもって、創立100周年に向けて更なる飛躍を遂げるために、全員で新たな挑戦に取り組もうではありませんか」