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田中電子工業、銅製配線材の生産拠点を拡大

2011年7月7日 (木)

拠点・施設TANAKAホールディングス(東京都千代田)は7日、ボンディングワイヤ(配線材)を製造する田中貴金属グループの田中電子工業が、銅製ボンディングワイヤの生産を日本、中国、シンガポールの3拠点体制に移行すると発表した。これにより、製品サプライチェーン(供給網)で自然災害や社会インフラの障害などへのリスク分散を図りながら、安定的な製品供給が可能になる、としている。

 

投資額は約10億円で、同社の中国工場(杭州)で銅製ワイヤの生産を開始するほか、シンガポール工場での生産能力を現在の3倍に増やし、佐賀工場(佐賀県吉野ヶ里町)と合わせた3拠点体制で、今年度内に全社的な生産能力を現在の2倍となる月間2億メートルに引き上げる。また、生産増強に合わせ、現行品よりもランニングコストを低減でき、接着性が向上する銅製ワイヤの新製品「CLR-1A」の生産も始める。

 

金の価格高騰が進む中、半導体の集積回路と外部電極をつなぐボンディングワイヤは、金よりも安価な銅への置き換えが進んでいる。これまでの銅製ワイヤは、表面酸化による劣化が早く、品質安定性が低いという欠点があった。表面処理技術などの加工技術の向上により、最近の銅製ワイヤは耐腐食性や安定性が強化されており、低価格製品の需要が高い中国などアジア新興国を中心に、昨年から本格的に銅製ワイヤの需要拡大が加速している。

 

ボンディングワイヤは現在、世界で月間10-12億メートル製造されていると考えられており、銅製ワイヤは全体の15%程度を占めているが、2013年には約40%にまで拡大すると見込まれている。銅製ワイヤの本格的な需要拡大に向け、田中電子工業は、国内外での銅製ワイヤの供給体制と製品開発を強化することで、半導体需要をけん引するアジア圏で増える需要を取り込み、シェア拡大を目指す。

 

田中電子工業では「CLR-1A」など6種類の銅製ワイヤを製造しており、2013年までに銅製ワイヤの販売を月間8億円に引き上げる。