ロジスティクスコンテナ船の事業統合を午前中に表明した日本の海運大手3社は10月31日、そろって中間決算を発表した。コンテナ船やドライバルク船事業の市況低迷が想定を上回ったとして、日本郵船がコンテナ船・ドライバルカー・貨物航空機で合計2000億円の減損損失などを特別損失に計上し、四半期最終損益が2318億1200万円の巨額赤字に陥ったほか、川崎汽船はコンテナ船、不定期専用船などの主力事業が赤字化。唯一、商船三井は予想値を上回る損益となったが、航海完了次期が10月以降にズレ込んだ影響によるものが大きく、通期予想は大幅な悪化を予想している。
■日本郵船、四半期最終2318億円の巨額損失計上
日本郵船の上半期業績は、売上高9285億8200万円(前年同期比22.5%減)、営業損失224億7200万円(前年同期は386億2300万円の利益)、経常損失236億1600万円(427億1100万円の利益)、四半期最終損失2318億1200万円(547億6800万円の利益)。
2016年9月中間決算 |
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当期実績(百万円) | 前年同期比 | 対売上高利益率 | 直近3か月(百万円) | 前年同期比 |
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売上高 | 928,582 | -22.5% | 457,823 | -24.9% | |
営業利益 | -22,472 | -- | -- | 11,509 | -- |
経常利益 | -23,616 | -- | -- | -- | -- |
当期純利益 | -231,812 | -- | -- | -- | -- |
部門別でも定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業がいずれも赤字に転落した。定期船事業のうち、コンテナ船部門は北米航路で自律的な回復が見られたものの、新造大型船の竣工で運賃回復が遅れた。
通期は売上高1兆8650億円(17.9%減)、営業損失255億円、経常損失260億円、最終損失2450億円を見込む。
■商船三井のコンテナ船損失拡大、韓進破綻の影響軽微
商船三井は売上高7135億6000万円(21.1%減)、営業損失20億2000万円(前年同期は81億8500万円の利益)、経常利益54億9800万円(前年同期は80.2%減)、四半期最終利益160億5800万円(前年同期は2億4100万円の損失)と、最終損益で黒字をキープした。
2016年9月中間決算 |
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当期実績(百万円) | 前年同期比 | 対売上高利益率 | 直近3か月(百万円) | 前年同期比 |
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売上高 | 713,560 | -21.1% | 353,481 | -22.4% | |
営業利益 | -2,020 | -- | -- | 1,553 | -75.7% |
経常利益 | 5,498 | -80.2% | 0.8% | -- | -- |
当期純利益 | 16,058 | -- | 2.3% | -- | -- |
コンテナ船事業は北米航路で夏場の需要期以降にアジア出しの荷動きが堅調に推移し、スポット運賃市況が上昇。韓進海運の法定管理申請を背景に一時、急上昇する局面もあったが、同社の業績への影響は軽微にとどまり、損失が拡大した。
不定期専用船事業は自動車船の損益が悪化した一方、油槽船・LNG船・海洋事業はLNG船部門の長期契約による安定収益が寄与して増益、ドライバルク船事業も構造改革の進捗で増益となった。
通期は売上高1兆4130億円(17.5%減)、営業損失150億円、経常損失30億円、最終利益70億円を見込む。
■川崎汽船、今期最終赤字940億円の見通し、船腹削減追いつかず
川崎汽船は売上高4911億5200万円(26.5%減)、営業損失264億2300万円(前年同期は187億7400万円の利益)、経常損失361億2500万円(同159億2500万円の利益)、四半期最終損失504億5700万円(同116億7800万円の利益)。事業構造改革による船腹削減など収支改善策に取り組んだが、業績の悪化に歯止めがかからない状況となった。
2016年9月中間決算 |
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当期実績(百万円) | 前年同期比 | 対売上高利益率 | 直近3か月(百万円) | 前年同期比 |
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売上高 | 491,152 | -26.5% | 246,559 | -25.9% | |
営業利益 | -26,423 | -- | -- | -11,587 | -- |
経常利益 | -36,125 | -- | -- | -- | -- |
当期純利益 | -50,457 | -- | -- | -- | -- |
セグメント別では、海洋資源開発・重量物船部門を除く全部門で損益が悪化し、コンテナ船、不定期専用船が赤字化した。
通期は売上高9700億円(22%減)、営業損失440億円、経常損失540億円、最終損失940億円を見込んでいる。