拠点・施設日本製粉は29日、経営環境の急激な変化に対応するため、2012年10月から千葉工場原料穀物サイロ増設工事に着工すると発表した。福岡工場、神戸甲南工場(第2期)、知多新工場と順に着工し、完成後は臨海工場の保有サイロ収容力で業界トップとなる。
一連の増強工事は、中期経営計画とは別に、2015年度までに約100億円を投資して原料穀物サイロの備蓄能力を現状の50%増の30万トンに引き上げるもので、千葉工場の増強工事は第1段階として実施する。
千葉工場では、原料穀物サイロ収容力を7万5000トンから10万トンに高める増強工事を行う。同工場は小麦粉、コーングリッツ製造ミルを保有する主力の新鋭臨海工場で、06年にはDミルを新設し、IT技術を駆使した高品質・高生産性の大型ラインとして稼動している。
現在、日本国内で消費される小麦の約90%は輸入され、政府が買い付け価格にマークアップ(差益)を上乗せした一律価格で製粉企業に売渡している。一部の小麦は、2007年から製粉会社による独自調達(SBS方式)が認められ、需要の多様化に細かく対応することが可能となっている。
同社はこれまでも大型臨海工場への集約化を行い、コスト競争力の強化を進めてきたが、製粉事業は急速な環境変化が生じていることから、検討を進めていた設備投資計画を加速させ、早期に具体化させることにした。
2010年10月から、小麦の「国家備蓄」を製粉会社が肩代わりして行う制度が始まっており、製粉業界では小麦の保管の一部を外部のサイロ会社に委託せざるを得なくなってきていることから、自社サイロの増強によってコスト削減を進めている。