ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

三光汽船、資金繰り窮し事業再生ADR申請、負債1026億円

2012年3月16日 (金)

話題東京商工リサーチ(TSR)によると、三光汽船(東京都千代田区)は15日、事業再生実務家協会に「事業再生ADR」手続を申請した。短期的な資金繰りに窮したことから、今回の手続申請に至った。2011年12月31日時点の連結決算ベースでの負債総額は、約1026億7900万円。

 

三光汽船は申請に先立ち、取引先向け説明会を13日に今治、14日に東京でそれぞれ開催し、船主に対し9日以降の1か月間に支払期限を迎える用船料の約50%相当額の支払い繰り延べを要請した。

 

同社は1934年8月、元自民党衆議院議員の故・河本敏夫氏が設立した独立系の海運会社で、63年の海運集約化の流れには参加せず、独立系海運会社として業容を拡大、業界大手のタンカー海運会社となっていた。81年以降の海運不況の影響で不採算航路が続出して経営が悪化、85年8月、負債総額約5200億円を抱えて会社更生法の適用を申請。当時の戦後最大の大型倒産となっていた。

 

その後、86年1月に更生手続開始決定を受け、89年11月更生計画が認可。従業員削減と船舶売却など合理化を進め、98年2月、更生計画を9年繰り上げて更生債権を完済、更生手続を終結していた。

 

更生手続終結後は、世界の海上荷動きに対応した三国間輸送に重点を置き、効率的な配船と船腹確保を行い、中国経済の拡大による鉄鉱石輸送などが拡大し、08年3月期には年商2293億7700万円をあげていた。

 

しかし、以降はリーマン・ショックに端を発する世界的な経済環境の悪化を受け、運航量・単価が下落。さらに、借入負担とともに船舶燃料油価格が高止まりするなどで運航経費負担が増加。直近では、ばら積み船や液化石油ガス(LPG)船など195隻を運航しているが、11年3月期の年商1255億8600万円にとどまり営業損失も膨らんだことから、157億8300万円の最終赤字となっていた。

 

また、ここ最近の円高に伴いドルベースでの収入が落ち込み、不採算船の売却などリストラを進めていたが、短期的な資金繰りに窮する事態となり、今回の手続を申請することになった。