調査・データパナソニックは8日、福井県あわら市で行った宅配ボックスの設置実験の最終結果を発表した。
今回の実証実験は、2016年10月18日からモニター募集を開始。11月中にモニターを106世帯に決定し、宅配ボックスを設置。12月1日から実証実験を開始し、12月1日から17年3月31日の4か月間の宅配便の配達状況についてモニター世帯にアンケート調査を実施して回答した417世帯のデータを集計した。
昨年12から17年3月末の実験をまとめた最終報告では、宅配ボックス設置により再配達率が「49%」から「8%」まで減少したことがわかった。これにより、222.9時間の労働時間の削減、465.9キロのCO2を削減したことになる。
モニター103世帯 | 16年10月(開始前) | 16年12月 | 17年1月 | 17年2月 | 17年3月 | 計 |
再配達率 | 49% | 8% | 9% | 6% | 10% | 平均8% |
再配達削減回数 | 0回 | 300回 | 235回 | 209回 | 269回 | 1,013回 |
総配達数 | 583回 | 779回 | 519回 | 418回 | 542回 | 2,258回 |
再配達削減による宅配業者の労働削減時間想定値 | 0時間 | 66.0時間 | 51.7時間 | 46.0時間 | 59.2時間 | 222.9時間 |
再配達削減によるCO2削減量想定値 | 0kg | 138.0kg | 108.1kg | 96.1kg | 123.7kg | 465.9kg |
杉の木換算本数 | 9.9本分 | 7.7本分 | 6.9本分 | 8.8本分 | 33.3本分 |
実験を終え、今後についてあわら市は、全国に先駆けて宅配ボックスの設置費用の一部を助成する補助制度を創設することを決めた。「全国で宅配ボックスが普及することの一助となり、再配達の解消とともにCO2削減といった環境負荷の低減や、配達の負担軽減に寄与できると考える」(あわら市)。
また、宅配ボックスを使用しなかった理由の詳細を調査すると、「冷蔵・冷凍」、「大きすぎて入らなかった」などの理由があがり、今後それに対応した製品の検討が必要なこともわかった。
宅配ボックスが稼働できなかった総数計183回のうち、多かった原因を抜粋すると、「宅配業者がボックスに入れてくれなかった」が43回で23.5%、「ボックスがいっぱいだった」が42回、23%、「冷蔵・冷凍」が26回、14.2%、「大きすぎて入らなかった」23回、12.6%、その他(代引・書留など)49回、26.8%――となった。
パナソニックは、再配達のさらなる削減には、宅配ボックス設置有無の表示検討や、冷蔵・冷凍やサイズの大きな郵便物などニーズに対する宅配ボックスの幅広い対応など必要だとしている。