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商船三井、海・陸間で大容量高速通信の構築に成功

2017年11月30日 (木)

ロジスティクス商船三井は11月30日、日本無線、JSATモバイルコミュニケーションズと共同で、航海情報記録装置(VDR)に記録されるデータを大容量高速衛星通信サービス経由で陸上と共有可能なネットワークを構築することに成功した、と発表した。

通信サービスはインマルサット社の提供する「フリートエクスプレス」を用いた。

VDRは、位置情報や速度、主機回転数など船の動静データ、船橋内の音声やり取り、航海計器であるレーダーや電子海図(ECDIS)の画像データなどを記録する装置で、航空機のフライトデータレコーダー、コックピットボイスレコーダーに相当する。

海難事故に備え、事故に至った経緯や原因を内部に蓄積されたデータを解析、究明するのが目的で、国際航海に従事する大型貨物船や旅客船への搭載が国際条約で義務付けられている。

VDRデータは船上の本体内に蓄積され、データを陸上に送るためにはハードディスクドライブなどの補助記憶装置へ保存し、郵送する必要があったため、これまで航海中の入手は不可能だった。

今回、商船三井の運航船1隻でトライアルを行った結果、陸上でのリアルタイムモニタリングと、陸上へのVDRデータ送信時間の短縮化が可能になった。

今後は本船の現在の航行状況をリアルタイムで把握し、陸上からのサポートを深めることができるようになるほか、海難事故発生時も事故に至るまでの本船の動静データを陸上の電子海図で再現したり、音声やレーダー画像を確認したりできるようになる。

同社は今回の成功を「将来の遠隔操船につながる要素」に位置づけ、運航船全船への展開も視野に入れる。