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疲労科学で事故リスク予測、日立物流など共同開発

2018年4月27日 (金)

サービス・商品日立物流は27日、日立キャピタルオートリース、理化学研究所生命機能科学研究センター(理研)、関西福祉科学大学、日立製作所と共同で、トラックドライバーの疲労に着目した「運行中の事故リスクを低減する安全運行支援技術」の開発を開始したと発表した。

24日に「物流トラック運行管理における疲労科学に基づく事故リスク評価予測手法の開発」を目的とした共同研究契約書を取り交わした。

ドライバー・車両から運転行動を表現する「センシング項目」を取得し、運行前の生体の測定情報、運行中の車載センシング機器からの危険シグナル、生体情報のすべてをクラウドに集約、「非定常動作」とヒヤリハットの記録を蓄積することで、重篤な事故につながる事故リスクKPIを定義してドライバーの事故リスクを評価するシステムを確立。

同時にドライバーの疲労度合いを測定し、運転スキル、環境条件などのほかの条件と併せて疲労と事故リスクの関係を解明、モデル化する。AIによる時系列多変量の相関性分析により、事故・ヒヤリハットに影響を与える状況を判断し、疲労科学に基づく事故リスク評価を行う。

(以下画像の出所:日立物流)

これらにより、ドライバーに対して「適切なタイミングに適切なリコメンド」を生成できる安全運行支援、管理支援技術を開発。リアルタイムにドライバー、運行管理者へ警告を発信する。

共同研究で、日立物流はトラック業務で運行情報取得、疲労測定の実施と事故リスクの評価、事故リスク評価・予測手法の実用化とサービス事業化を担う。日立キャピタルオートリースは事故リスクの定義検討、安全対策手法の検討、理研は疲労メカニズムに基づく事故リスク評価、予測手法の検討、関西福祉科学大はドライバーの疲労計測、客観的評価手法の検討、日立製作所は運行情報と疲労測定のAIを用いた解析、疲労科学に基づく事故リスク評価技術の開発――をそれぞれ担当する。

今後は事故のゼロ化とロスコストの削減を目指したIoTテクノロジーの活用や、ソリューションを通じて得られる知見と情報を生かした高度運行管理システム・安全教育システムの構築、車両のリース・保険・整備・共同調達機能を付加したトータルソリューションパッケージ化、日立キャピタルが推進するビークルソリューション事業と日立物流の車両販売・リース・整備事業の連携を進める。

また、将来的にはエコシステムの拡大から生活を支えるライフラインとして、デバイス設置、メンテナンス作業の事業創出、調達機能共有化によるイニシャルコスト低減と導入車両の拡大、事故ポテンシャル低減を立証することによる保険料率見直しへのアプローチ、車両故障や消耗部品の予兆診断による整備ビジネスへの貢献、トラックメーカーとの協創による標準装備化、バス・タクシーへの適用拡大なども視野に入れる。