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日本郵船、商船三井などコンソーシアム立ち上げ

船舶ビッグデータ共同活用へ海事産業スクラム

2018年5月31日 (木)

話題日本海事協会、日本郵船、商船三井、シップデータセンターなど海事産業のデータ共有基盤「IoS(船舶IoT)オープンプラットフォーム」に参画する5社・団体は5月31日の会見で、コンソーシアムを立ち上げると発表した。同日、第1回の総会を開いた。

IoSプラットフォームは、舶用データを活用するための基盤として海事協会が100%出資で設立したシップデータセンターが核となって、海運会社などが収集するデータを集約・蓄積し、これらを利用した技術やアプリ開発を促す基盤となるもので、企業の枠を超えて進められるこうした取り組みは「おそらく世界初の試み」(日本海事協会の冨士原康一会長)。

日本海事協会の100%出資会社として、シップデータセンターを率いる池田靖弘社長は、記者会見で「ビッグデータやAIを活用していこうという動きが驚異的なスピードで進んでおり、これらを駆使する企業は業界の垣根を超えて進出してくるため、危機感を募らせていた。海事産業にもイノベーションの創出が必要だが、データライゼーションの変革にはデータ活用とその基盤を安心して使える環境が欠かせない」と話し、ビッグデータを利用するための共通ルールを世界で初めて策定した、と説明。

「(同社が核となって船社、造船会社、舶用機器メーカーなどが参画する)コンソーシアムを通じて実ビジネスを加速させたい」と意欲を示した。

コンソーシアムでは、年内にコンソーシアムに参加する会員数47社、登録船舶300隻、船社や舶用機器メーカーなどの「プラットフォームプロバイダー」3社、データを活用して開発するアプリ5件、自社製品の製造・開発のためにデータを活用する事業者20社を、2022年には会員85社、登録船舶550隻、プラットフォームプロバイダー5社、提供アプリ20件、データ活用事業者50社――をそれぞれ目指す。

▲商船三井の川越美一氏

船社として参画する商船三井の川越美一氏(専務執行役員技術革新本部長)は「現在は各社が自社の集められる範囲で一生懸命やってるのが実情。これらをデータセンターに集約してきっちり管理し、新しいサービスにつなげていければ、と大きな期待を寄せている。商船三井としては、安全運行評価、貨物ハンドリング高度化、乗組員の負荷低減などにビッグデータ使っているが、データセンターを中心に協業の機運高まり、新しいサービスにつながれば」と積極的に関与していく考えを示した。

▲日本郵船の吉田泰三氏

また日本郵船の吉田泰三氏(経営委員工務グループ長)は「ビッグデータやAIを活用する波の大きさに危機感を持っている。旧来のスタイルで続ければ、従来の海運会社は早晩立ちいかなくなるのではないか」と、海事クラスターを挙げて取り組むプラットフォームの重要性を強調。

「船のデータについてはよく理解しているつもりだが、扱いの難しさ、法律的な難しさなどをかなり実感してきた。1社で取り組むのは限界見えていたところだったため、プラットフォームが立ち上がった際には『我が意を得たり』と感じていた」と述べた。