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自動車事故調、トラック事故4件の報告書公表

2018年6月8日 (金)

調査・データ国土交通省は8日、事業用自動車事故調査委員会(自動車事故調)がまとめた、重要調査対象である「トラクタ・バンセミトレーラの追突事故」など4件の調査報告書を公表した。

トラクタ・バンセミトレーラの追突事故は、2016年10月8日21時56分頃、香川県観音寺市の国道11号上り線で、トラクタ・バンセミトレーラが製材品1万9000キロを積載して走行中、進路前方の車道を同一方向に太鼓台を引いて進行していた秋祭りの参加者60人の行列に突っ込み、同太鼓台に衝突した。

▲事故状況図(出所:国土交通省)

この事故により、同太鼓台を引いていた参加者のうち、1人が死亡し、5人が重傷、34人が軽傷を負った。

報告書によると、運転中に居眠りしたことから、太鼓台を引いて車道を進行していた秋祭りの参加者の行列に気付くのが遅れ、ブレーキやハンドルを操作したものの間に合わず、行列に突っ込み、太鼓台に衝突したことで起きたものとみられる。

運転者は、厚生労働省が定めた基準を超える長時間労働を行っており、このため疲労が蓄積し、集中力が低下するなどし、居眠りをした可能性が考えられる。

所属事業者は、運転者の運行時間の把握や過労運転防止に配慮した運行指示を運行管理者が行っていないほか、夜間・早朝での点呼の未実施、車両の自宅への持ち帰りの黙認、点呼記録等の記載不備等が認められ、過去に受けた行政処分後の改善も適切になされていないなど、「運行管理の重要性を軽視した事業者の体質が事故の背景にある」と指摘した。

自動車事故調では、事業者が実施すべき再発防止策として、(1)運転者の勤務状況を把握し、改善基準告示に定める1日の拘束時間などの限度を超過しないよう運転者の乗務管理を行うこと(2)始業点呼・終業点呼のいずれも対面で行うことができない運行を運転者に行わせる場合、運行ごとに運行指示書を作成し、適切な指示を行うこと(3)点呼において、睡眠不足や疲労について確実に報告させるとともに、運行管理者自ら運転者の健康状態などを確認し、安全な運転が可能か否かを判断すること――を求めた。

国交省は、「運行管理の重要性を軽視していると見られる事業者が現に存在することを直視した上で今後の安全運行確保施策を検討すべき」としている。

■報告書詳細
トラクタ・バンセミトレーラの追突事故(香川県観音寺市)
http://www.mlit.go.jp/common/001237771.pdf

中型トラックの追突事故(山口県下松市)
http://www.mlit.go.jp/common/001237782.pdf

トラクタ・車両運搬セミトレーラの対歩行者事故(大阪市住之江区)
http://www.mlit.go.jp/common/001237780.pdf

大型トラックの追突事故(静岡県焼津市)
http://www.mlit.go.jp/common/001237778.pdf