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横浜ゴム、天然ゴム生産の安定化につながる研究成果

2018年7月31日 (火)

話題横浜ゴムは30日、タイの大学と共同で取り組んでいる天然ゴム研究で、天然ゴムの基となる樹液(ラテックス)に含まれるタンパク質の解析、天然ゴムの生合成に深く関与するタンパク質の特定に成功した、と発表した。天然ゴムの生合成への理解が深まり、品質や生産に関わる研究の加速化につながる効果が見込まれる。

天然ゴムはパラゴムノキから採取したラテックスを加工した原料で、タイヤの30%を占める主要原料のひとつだが、生産が東南アジアに集中していることから、異常気象や病気によって生産が大規模に阻害される可能性がある。一方、タイヤ需要は拡大が見込まれているため、同社は今回の研究成果を「将来的に天然ゴム農園の維持・発展に活用していく」としている。

▲ラテックスの採取

マヒドン大学との研究では、新鮮なラテックスやパラゴムノキの苗木からタンパク質を抽出し、含まれているタンパク質をナノレベルで分析。その結果、ラテックスに含まれる800種以上のタンパク質を解析し、これらの一部が天然ゴムの生合成や耐ストレス性に関係していることが判明したという。

さらに、異なる品種のパラゴムノキを比較することで生合成を促進するタンパク質や阻害するタンパク質の特定に成功。これらは「生合成のバイオマーカーとしての活用」が期待される。

このほか、ソンクラー大学と取り組む天然ゴムの基礎研究では、季節や地域、品種、加工法の異なるラテックスを分析し、ゴムの物性や化学特性の違いの有無を長期間評価していて、これまでに「天然ゴムは組成から物性まで非常に安定した材料であり、外的要因の影響を受けにくい」ことが分かってきている。

▲ラテックスがタンパク質によって凝固するモデル図