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海運大手3社1Q、統合のコンテナ船で出足鈍く

2018年7月31日 (火)

財務・人事日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は7月31日、4-6月期決算を発表した。3社のコンテナ船事業統合の立ち上がりが想定を下回る積み高となったことが影響し、日本郵船と川崎汽船の2社は営業損益・経常損益が期初予想より悪化したものの、商船三井は前年同期比で改善、統合の恩恵を受けた。

■日本郵船、貨物航空部門の不適切整備でダブルパンチ
日本郵船はコンテナ船事業統合の立ち上がりに伴う一時費用が想定を上回ったことに加え、子会社の日本貨物航空が不適切な整備によって6月中旬から11機の航空機すべてを運休させ、事業改善命令と業務改善命令を受けるなどしたことで、81億円の営業損失、66億円の経常損失を計上。最終損益も前年同期の54億円の利益から一転、45億円の赤字となった。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
464,895-10.9%
営業利益
-8,119--
経常利益
-6,606--
純利益
-4,594--

■川崎汽船、主力の「製品物流」総崩れ
川崎汽船は主力の「製品物流セグメント」を構成する自動車船事業、コンテナ船事業、近海・内航事業で損失を計上。同セグメントで唯一、赤字転落を免れた物流事業でも増収減益となり、同社全体で133億円の営業損失、171億円の経常損失となった。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
212,177-26.2%
営業利益
-13,370--
経常利益
-17,095--
純利益
-19,272--

■商船三井、統合の恩恵受け改善進む
一方、商船三井はほかの2社と同様に、統合したコンテナ船事業で積み高が想定を下回ったものの、「変動費の削減が想定以上に進捗」して損益を下支え。前年度までのコンテナ船事業の費用を修正して収益が増え、費用が減少した影響で、想定より改善が進んだ。

 
累計(百万円)
前年同期比
対売上高利益率
売上高
304,434-24.5%
営業利益
3,691221.6%1.2%
経常利益
251-95.7%0.1%
純利益
-1,682--

■ONE、消席率73%で立ち上がり鈍く 7月以降は回復見込む
3社のコンテナ船事業を統合して発足した新会社「オーシャンネットワークエクスプレス」(ONE)の4-6月期決算は、売上高が20億6600万ドル(2297億円)にとどまり、9月末までの業績を含めた上期売上高も、4月時点の予想を8億2700万ドル(919億円)下回る54億4200万ドル(6050億円)となる見通し。税引き後損益は4-6月実績が1億2000万ドル(133億円)の赤字。

4-6月期の本船積載可能コンテナ数に対する船積み実績の割合を示す「消席率」は、北米往航、欧州往航がともに73%にとどまった。ただ北米往航は7月に入って90%、欧州往航も92%まで回復しており、7-9月期以降で「期初想定並み」は見込んでいる。

すでにサービスが安定してきているため、7月以降は「営業面では概ね定常状態に戻る見込み」で、統合に伴う相乗効果も前倒しで現れつつあることから、通期業績は「期首想定通りの収益」を確保できる見通しだ。ただ、海外ターミナル事業による収益については、事業移管が遅れており、この影響で第4四半期(2019年1-3月)のみ計上する。

航路別積高・消席率2018年度第1四半期実績
北米往航積高530
消席率73%
欧州往航積高312
消席率73%