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日本郵船、船舶の鋼材腐食対策で共同事業検討

2018年8月21日 (火)

ロジスティクス日本郵船は21日、優れたレーザー施工技術を持つトヨコー(静岡県富士市)と海事分野で共同事業展開を検討する、と発表した。

トヨコーのレーザー施工技術「Cool Laser」(クーレーザー)」を活用し、甲板上の乗組員によるメンテナンス作業の負担や修繕ドックのコストを抑えるとともに、「効率的で環境に配慮したメンテナンス」を可能とする事業展開を目指す。

▲CoolLaserによるレーザークリーニング効果(写真左:クリーニング前、右:クリーニング後)

甲板上の鋼材は、塩分、温度、湿度、紫外線や荷役作業時の傷などの要因でさびやすい環境に常にさられ、日々乗組員が航海中に甲板上で工具を用いてさび落としと塗装の作業を行っているが、その効果は長く続かず繰り返しの作業に多大な労力を要している。

また、船底など甲板以外のさび落としは主に修繕ドック時にサンドブラストと呼ばれる施工方法が用いられているが、粉塵・廃棄物の大量排出が伴う。

トヨコーは2008年以降、陸上構造物の塗装作業を通じたノウハウを元に、レーザーによるクリーニング工法の開発に取り組んでおり、その結果、鉄骨構造物に付着したさびをレーザーで除去する技術を開発。短時間でさびを落とせる、塩分を一緒に除去できる、狭い箇所のさびも除去できる、粉塵・廃棄物の排出が格段に少ない――といった効果が得られることから、陸上構造物にとどまらず、幅広い鋼材腐食のメンテナンスへの応用が期待されている。

今後は海事分野でクールレーザーによる事業の展開を目指し、レーザー照射が鋼材に与える影響や塗膜の付着試験、安全な施工方法の検証を通して、現場に適した装置、システム、施工方法の開発・改良に取り組む。また、修繕ドックで実船に対してトライアルを行う。

▲乗組員による甲板上のさび落とし作業(現在の様子)