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九州運輸局が交通政策関係表彰の環境保全部門で表彰

福岡運輸、既存バース予約「ピンと来ず」自社開発

2020年1月27日 (月)

話題福岡運輸(福岡市博多区)はこのほど、同社が開発した「バース予約・受付システム」に関する一連の取り組みが、交通政策関係表彰の環境保全部門で表彰を受けたことを発表。取材に対し担当者は、「既存のシステムはすべて試したが、ピンと来なかった」と自社開発に至った経緯を語った。

同社は、2018年までにバース予約・受付システムの導入を検討していたが、「通過型(TC)と保管型(DC)の両機能をもつ当社倉庫にマッチするシステムがなかった」として、自社の社員で独自開発することを決定。環境省の補助金を活用し、1年足らずでシステム運用開始に漕ぎつけた。

▲福岡支店(24バース、出所:福岡運輸)

開発したシステムを端的に表現すれば、「倉庫の実情に合わせて自動部分と手動部分を適切に組み入れたもの」となろう。24バースをもつ「福岡支店」(佐賀県基山町)は、朝・昼・夕方・夜間の時間帯に、それぞれ異なる目的をもったトラックを受け入れているため、臨機応変にバースを割り当てられるよう、システムに手動管理の余地を残した。

▲受付管理画面(出所:福岡運輸)

例えば、24あるバースのうち、1~20を自動割当、21~24を手動割当とすることで、夜間の幹線輸送に影響する集配車を優先するなどの対応がとりやすくなっている。一方で、トラックの受付と呼出しには自動化を取り入れ、ドライバーには庫内作業の進捗状況を公開。作業進捗に合わせて「そろそろ呼出しがある」ことを知らせるメール配信機能を盛り込むなど、効率化と省人化を実現した。

トラックドライバーからの評判は上々で、当初は「手書きの方が早い」という声もあったが、電話番号を入力するだけで「受付」「作業終了」のボタンが表示されるため、1か月ほどでドライバーに定着。バースの「予約」については、幹線輸送便のドライバーなど、必要な人だけが利用している状況で、自身の経験に基づいて必要な時間枠だけを予約しているという。

▲東京支店(34バース、出所:福岡運輸)

同社は、2019年1月にシステム運用を開始してから、すでに3回のバージョンアップを行っており、「東京支店」(川崎市川崎区)、九州配送センター(佐賀県鳥栖市)にもシステムを配備。間もなく「名古屋営業所」(愛知県一宮市)にも導入するほか、バース予約・受付システムと配車システムを連携して、配車計画立案を効率化する取り組みも検討しているという。

同社の担当者は、「既存のシステムはクラウド管理型の予約・受付システムが主流となっており、個別にカスタマイズできないことがネックだった。当社のような事情により、システムをうまく運用できていない倉庫もあると思う。今後問合せが多いようであれば、他社に提供する可能性もある」と話した。

共通プラットフォームでデータを集約し、物流全体の効率化を図ろうとする動きが主流となりつつある中で、業界に一石を投じる取り組みになりそうだ。

▲22日に行われた表彰式の様子(出所:福岡運輸)