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有料会員率8割超「配達アプリ」宅配標準ツール化目指す

2020年3月23日 (月)

サービス・商品宅配事業者がつくる協同組合理事長に「このアプリがない業務など考えられない」とまで言わしめた配達アプリ(関連記事参照)。リリース時点から「使えるツール」として注目され、その後も順調に新規会員を増やしている。新規会員の成長率は30%に上り、有料会員比率も80%に達した。

関連記事
“1日300分”生む最強配達ツール「配達アプリ」
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有料会員数の伸び(出所:ゼンリンデータコム)

宅配事業者が競って採用し、想定を上回る伸び率を維持している理由は何か、今後はどうなっていくのか。開発元のゼンリンデータコムが見据える戦略について、事業責任者を務める同社コンシューマ事業部の村上徹部長に聞いた。

有料会員数前月比30%増加、想定上回る成長率

「有料会員数が前月比30%増の推移というのは、われわれの想像を格段に上回っている」と村上氏。「80%を占める有料会員でなければより詳細な住宅地図を利用できないというのはあるが、それにしても想定以上の方が使ってくれている」と驚く。

ゼンリンデータコム・コンシューマ事業部の村上徹部長

有料会員が増えているのは、有料でなければ使えない機能が多いからというだけではない。

「1か月間、無料ですべての機能を利用できる”お試し期間”を設けたところ、実際に使ってみて、そのまま残ってくれている利用者が多かった」(村上氏)

実際にアプリを使ってみてもらい、その便利さに納得して有料会員になってもらう。「徹底的なユーザビリティ追求」こそが有料会員の増加につながっているのだ。

利用者目線でのアプリの改善が人気の秘密

アプリの利用者が増えるとともに、アプリに対する要望も増えているが、すべてに応えるのは難しい。どのように優先的に取り組む改善内容を選んでいるのだろうか。

村上氏は優先順位について「アプリストアのすべてのコメントに目を通し、その中で一番上位にくるものから順に対応してきた」と述べる。

たとえば「登録したすべての荷物ピンを一画面で確認したいという要望に対し、荷物登録された範囲全域の地図をワンタップで表示できるボタンを追加した。これにより配達ドライバーは、荷物の配達漏れを防ぐことができる」。実際にこのアップデートがユーザーに評価されているのかどうかもチェックしており、反応が良かったという。

またストアのコメントだけでなく、企業から寄せられたアプリ間連携の要望にも対応した。同社のこうした取り組みはユーザーにも評価されており、「使っていただいている方の継続率は高い」という結果も得られた。

個人ユーザーが利用しやすいアプリを作る

好評の配達アプリだが利用者の裾野は広い。既存の物流システムから見ればあまり注目されてこなかった個人ユーザーが多く利用しているという。配送システムとの連携が基本で大がかりなサービスが多い従来の物流システムと異なり、配達アプリは出発点が違うのだという。

「ウーバーイーツ(Uber eats)など、隙間時間に作業する方が増えてきているが、こういう利用者が多くのお金を出して配送システムを入れるのはまず不可能。そうした方にも使ってほしい」(村上氏)

同社のこの開発姿勢はサービス開始から変わっていない。そもそも配達員が使っていた紙ベースのゼンリン住宅地図をアプリ化する取り組み自体が、エンドユーザーの声を取り入れるというスタンスから自然に生まれたものだという。

ではエンドユーザーや利用企業の要望を踏まえ、今後、どのようなアップデートが行われる予定なのか。村上氏によれば、大きく2つのアップデートが検討されているという。

ひとつは、配達先に荷物を届ける際に最適なルートを案内する「ナビ機能」の実装、もうひとつは配達先情報の共有。たとえば宅配ボックスなど配達先の情報が配達員の間で共有できれば、荷物の配達をよりスムーズに行えるはずだ。

こうしたアップデートが行われれば、より使いやすい配達アプリとなるに違いない。

「より多くの人に体験して欲しい」-トライアル企業募集も

利用者の声を反映してアップデートを繰り返してきた配達アプリ。今後もアプリストアのコメントやサービスサイトに寄せられた声をもとに、アップデートを行っていく予定だ。

また同社は、配送事業者が導入済みの荷物管理システムと、配達アプリの住宅地図閲覧機能をシームレスに利用できる連携機能も提供している。企業間連携が必要になってくる理由には、物流業界のビジネスモデルが関係している。配達業務において、ひとつの荷物をひとつの会社で受取人まで届けるケースは稀で、宅配にかかわる企業間の連携は欠かせないため、配達に関する情報を複数の企業間で共有することも必要になってくるわけだ。今後はそうした企業間での連携も、利用企業の声を聞きながら実現していくことになりそうだ。

このように利用者が増え続けている配達アプリ。その背景には、テストアカウントで「お試し導入」できるトライアル導入企業の拡大も影響しているようだ。

「若い人は紙の地図に慣れていない。こういう配達員の方にアプリを利用してもらって、どれくらい配達業務が効率化されたかをテストしてもらっている」(村上氏)

利用者が順調に増加している配達アプリ。今後も利用者の声に沿ったアップデートが行われ、さらに便利になっていくのは間違いない。人手不足が叫ばれている物流業界において若い人でも手軽に利用でき、効率的に配達業務を行うことができるこのツールの人気は、ますます高まりそうだ。

ゼンリンデータコムの特設サイト(下記URL参照)では、通常1か月間のお試し期間を特別に2か月間に延長している。トライアル導入制度を利用したお試し導入に関心のある企業は、一度利用してその効果を体験してみてはどうだろうか。

■トライアル導入企業の募集URL
https://godoor.jp/biz/