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サンコー運輸がコロナ逆手に拡大策、3年で車両4倍

2020年7月15日 (水)

ロジスティクス和歌山市の運送会社「サンコー運輸」が、来年3月までに10億円以上を投資し、業容を拡大する。神奈川県厚木市に営業拠点を設け、初めて関東に進出するほか、地盤の和歌山県紀の川市に新たな車両基地を開設し、2018年に50台だった車両台数を3年間で4倍の200台に増車する。

山本光生社長(出所:サンコー運輸)

同社の山本光生社長は「現在世界規模でみても、新型コロナウイルスの影響で厳しい状況ではあるが、当社はチャンスと捉え、少々なことでは転覆しない土台を準備する。物量が回復した際には『翌日20台でも何台でも準備する』といえる会社を作る」と意気込む。

すでに6月末時点で同社の保有台数は150台に拡大しており、残る50台も発注済みで、21年度中に200台に到達する見込み。現在の保有車両の内訳は10トンウィング車130台、4トン車20台で、今後導入する50台もすべて10トンウィング車。建設資材、食品、機械、雑貨など、積み荷は多岐にわたっている。

同社の保有車両が急速に増加していることから「新型コロナウイルスの感染拡大をチャンスと捉えて規模を拡大する」(山本社長)として、車庫や事務所機能を分けて対応する方針で、21年3月に紀の川市で開設する拠点「紀の川営業所」の建設には6億円を投じる。同社としては県内4か所目の拠点で、4000坪規模の営業所となる見込み。一般貨物用として4トンウイング車20台、10トン低床ウィング車150台の合わせて170台を配置するほか「トラックのパネルは広告効果が高い」として大型ボディプリンターの導入を検討し、意欲的に事業拡大に取り組む。

また、「これからのトラック業界を見ると、関東に営業所を開設しないと厳しくなる」との判断から、同社初の関東拠点となる厚木営業所を12月にオフィスのみの形態で先行開設し、土地を確保したタイミングで少なくとも4億円以上の投資規模で、車両を配備する「前線基地化」を計画する。

矢継早に拡大策を打ち出すサンコー運輸。新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化する見通しは立たず、物流業界でも荷主のビジネスや思うように進まない従業員の確保状況に左右されて苦境にある同業者が少なくない中、同社の担当者は「田舎の企業もがんばっていることを知ってもらいたい」と話した。