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近畿の車両停止期間1.7倍に、基準改正で長期化

2020年7月16日 (木)

行政・団体近畿運輸局の15日発表によると、2019年度は管内のトラック運送事業者に対して前年度比30件増の185件の行政処分が下され、事業停止を除く車両停止処分期間の合計は1万2050日車と、前年度から倍増。処分1件あたりの平均車両停止期間は1.7倍の65.1日車となった。

 2018年度2019年度
監査実施451件339件
違反1063件1273件
車両停止処分155件185件
処分延日車数6105日車1万2050日車
平均処分日車数39.4日車65.1日車

違反の分類で最も多かったのは「点呼」の308件で、前年度から77件の増加。次いで「乗務記録等」の183件(26件増)、「乗務時間等」の124件(15件増)、「事業計画・掲示等」の120件(48件増)――と続いた。過労防止に関わる違反がワースト3となっており、違反件数全体の63.7%を占めた。

この結果について、近畿運輸局は「行政処分基準改正が関係している」と分析。国土交通省では、自動車運送事業の労働時間が他業種と比べて長く、過労死が最も多いことを重く受けとめ、18年7月1日に過労防止に関連する処分量定を引き上げた。

国交省など3省が推奨し、6月末時点の賛同事業者が1000社を超えた「ホワイト物流」推進運動では、推奨項目の1つに「運送契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮」という項目があり、過去3年間の行政処分状況を確認することを勧めている。

基本的な過労防止・事故防止策を疎かにしたために、車両停止などの行政処分を受けるだけでなく、むこう3年間の事業に支障をきたすことも考えられる。19年11月には、貨物自動車運送事業法の一部改正に伴って再度処分基準の見直しが行われており、物流事業者にはこれまで以上に法令順守への高い意識が求められている。

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