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4-6月期の業界景況感30P悪化、リーマン破綻直後の水準

2020年8月17日 (月)

行政・団体全日本トラック協会が17日発表したトラック運送業界の4-6月期景況感(速報)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の大幅な停滞を背景に、前回のマイナス82.4から30.1ポイント悪化しマイナス112.5となった。

同日、内閣府が発表した4-6月期の四半期GDP速報も年率換算でマイナス27.8%と戦後最悪の落ち込みを記録、新型コロナウイルスによる経済への打撃がトラック運送業界の景況感指数にもダイレクトに波及した。

運送業界の景況感は、いまのところ2008年以降で最も低かったリーマン・ショック後(09年4-6月期)までの落ち込みに至っていない。だが、米投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻した08年9月の翌四半期(08年10-12月期)とほぼ同水準にあること、新型コロナウイルスの影響が今後も続くとみられること――などを考慮すれば、これまで限定的な影響にとどまっていた事業者を含め、次の四半期である20年7-9月期以降はさらに慎重な経営の舵取りが必要になってくる可能性が高い。

全ト協の発表資料によると、4-6月期は「好転」としたトラック運送事業者が5.7%(前回7.1%)、「悪化」は79.8%(同68.1%)で、判断指標はマイナス112.5を記録。通販需要の拡大により、宅配貨物の輸送量、売上高、営業利益、経常損益がいずれも大幅に改善したものの、一般貨物や宅配以外の輸送量、経常損益は大幅に悪化した。

今後は「新型コロナウイルス感染拡大による影響は大きいものの、経済活動が徐々に再開されているなど事業環境改善の兆しが感じられはじめた」(全ト協)として改善を見込むが、改善幅は1.7Pと小幅にとどまる見通しで、楽観できる状況ではなさそうだ。

実働率はマイナス91.4(マイナス56.1)と35.3P悪化、実車率はマイナス86(マイナス52)と34P悪化し、前回と比べて輸送効率が大幅に悪化した。採用状況はマイナス3.8(マイナス5.1)と1.3P上昇し、雇用状況(労働力の不足感)は19.6(50.5)と30.9P低下、労働力の不足感は大幅に緩和した。

今後の見通しは、実働率がマイナス86.4(今回マイナス91.4)と5P改善、実車率はマイナス82.1(今回マイナス86)と3.9P改善し、輸送効率は改善する見込み。採用状況はマイナス10.5(今回マイナス3.8)と6.7P悪化、雇用状況(労働力の不足感)は29.7(今回19.6)と10.1P上昇し、労働力の不足感は強くなるとみられる。

所定外労働時間はマイナス65.4(マイナス48.2)と17.2P減少、貨物の再委託(下請運送会社への委託割合)はマイナス63.5(マイナス28.7)と34.8P減少した。経常損益はマイナス93.4(マイナス58.7)と34.7P悪化した。

今後の所定外労働時間の見通しはマイナス56.8(今回マイナス65.4)と8.6P増加、貨物の再委託はマイナス58(今回マイナス63.5)と5.5P増加する。経常損益はマイナス87.4(今回マイナス93.4)と69P改善し、経常損益の水準を上げる見込み。