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名古屋港のヒアリ、追加調査で多数の女王アリ

2020年9月25日 (金)

国内環境省は25日、名古屋港で12日に発見されたヒアリについて、23日まで追加調査を行ったところ、一定規模のコロニーと数十個体以上の女王アリを確認したと発表した。

▲9月23日の調査・防除の様子(出所:環境省)

前回発表の17日以降、18日に調査会社が新たに数百個体の働きアリを確認し、環境省・愛知県・名古屋港管理組合らによる23日の調査で、1000個体以上の働きアリと女王アリ数十個体以上、羽のあるオスアリ1個体のほか、卵やさなぎを含む巣を確認。

18日の調査では殺虫餌を使用したが、23日の調査では、専門家の助言を受けながら、ヒアリが確認された場所に液体殺虫剤を集中的に散布・注入した。

▲追加調査で見つかった有翅女王アリ(出所:環境省)

今後は、28日以降に確認地点周辺を含む、巣が形成された場所全体の防除を行うほか、女王アリが分散した可能性を踏まえ、飛島ふ頭内の全域を対象とした周辺調査を11月までに実施。来年度以降も確認地点周辺のモニタリングを継続する。

環境省は、愛知県、飛島村、名古屋港管理組合などの関係機関に対し、確認地点周辺の点検を実施するよう依頼しているほか、関係事業者に対し、疑わしいアリをコンテナや積荷で確認した場合に、貨物からの逸走を防ぎ、完全に駆除が確認されるまで移動を避けるよう求めている。

ヒアリ「輸出元」への協力求め出国防ぐ手立ても必要

ヒアリが国内で確認されたのは今回で57事例目だが、これほど多数の女王アリが見つかったのは、昨年6月の東京港青海ふ頭以来、2例目だ。環境省によると、女王アリは一般的に「次世代の集団」を作る段階で生まれてくるため、数十体の女王アリが見つかったという今回の事例には、底しれぬ気味悪さが伴う。

ただ、これまでのところ被害報告はなく「刺されたとしても重篤化するケースはまれ」(環境省外来生物対策室)。また、確認された地点の周辺道路では以前から定期的な調査が行われているが、女王アリは見つかっていない。環境省も「今後の調査結果を待たなければはっきりしたことはいえないが、今回見つかったエリアから広くコロニーが分散しているという可能性は高くないのではないか」とみているようだ。

ヒアリに限ったことではないが、こうした外来生物対策は「(国内に)入ってくるのを防ぐ」のが通常の対応だというが、発見されるペースが高まっている現状を踏まえると、「輸出元」となる海外港湾への協力要請もこれまで以上に必要となってくるだろう。