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全ト協、高速料金「実質50%以上」の割引要望

2020年11月11日 (水)

左から、吉野雅山 日貨協連会長、坂本克己 全ト協会長、国土交通省 渡辺学大臣官房審議官(道路局担当)、長谷川朋弘道路局高速道路課長(出所:全ト協)

国内全日本トラック協会は10日、国土交通省の吉岡幹夫道路局長に対し、新年度税制改正・予算に関する要望書を提出した。道路関係では高速道路料金の値下げ、道路の積極的な活用に向けた施策の実現、道路関係情報のデジタル化促進などを求めた。

高速道路料金については、日本の高速道路利用率が16%と低い水準にとどまっていることから、これを欧米並みの30%に引き上げることで、「交通事故死傷者や環境負荷が大きく減少する」として、大口・多頻度割引の割引率が実質的に50%以上になる措置を求めたほか、長距離低減制割引や深夜割引の拡充、ロードプライシング、フェリー利用に対する補助・助成制度の創設――などを要望した。

またダブル連結トラックの本格展開、隊列走行・自動運転の推進に向けた取り組みを円滑に進めるため、新東名高速道路と新名神高速道路を6車線化するといった環境整備を図るよう求めた。

このほか、4時間ごとに30分以上の休憩を義務付けている連続運転規制を順守しやすくするため、休憩・休息施設、中継物流拠点の整備や拡充も要望に盛り込んだ。

■要望書
https://www.jta.or.jp/kikaku/yobo/20201110b.pdf

労使双方の視点で審議・回答を

トラックに代表される商業用車両の高速道路やフェリー料金などの割引拡充には、
(1)運輸事業者の経営支援
(2)運行業務従事者の労務環境保護や向上
という二つの側面がある。

本年4月14日に運輸審議会が答申した標準運賃の浸透進捗と相まって、運輸事業でのコスト低減への寄与は疑いなく大きい。かたやで最も実務上の効果が大きいと期待されるのは、夜間に限らず日中料金の割引率拡大だ。コスト抑制を主因とする夜間走行の比率が下がり、割引時間にあわせるための「乗り待ち」が減るに違いない。

連結車両はことさらだが、大型車両専用の駐車スペースが高速や主要幹線道路で恒常的に不足している点も、重要議事として検討を急ぐべきだ。ドライバーの休息や仮眠時間確保が、安全運行を支える基礎条件であることは言うまでもないことだろう。(企画編集委員・永田利紀)