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製造業グローバル出荷指数4期連続で低下、4-6月期

2020年11月12日 (木)

行政・団体経済産業省がこのほどまとめた4-6月期の製造業グローバル出荷指数は、1-3月期を17%下回る79.8となった。4期(1年)連続の低下。国内出荷がマイナス15.5%で3期連続、海外出荷もマイナス20.4%と4期連続でそれぞれ低下した。

グローバル出荷指数は、製造業のグローバル展開を踏まえて国内拠点と海外現地法人の動向を一元的に捉えようとした指標。

4-6月期は輸出向け出荷と海外現地法人の出荷の加重平均を合計した「海外ビジネス」、国内拠点からの国内向け出荷である「国内ビジネス」がともに低下したが、特に海外ビジネスの落ち込みが大きかった。日本国内からの輸出向け出荷に比べ、海外現地法人の出荷低下がより顕著に表れた。

地域別に見た海外出荷は、ASEAN4か国、北米などが低下した一方、香港を含む中国は上昇した。グローバル化比率は出荷海外比率、海外市場比率、逆輸入比のすべてが前期を下回った。

業種別のグローバル出荷は輸送機械工業が1-3月期比でマイナス35.6%と4期連続の低下となったほか、汎用・生産用・業務用機械工業、電気機械工業、化学工業などすべての業種が低下した。

好材料と好況の区別を明確に

今回に限らず、グローバル出荷指数の統計推移を読めば、貿易立国であるわが国経済がどのような状態にあるかはあきらかであるし、発表が続く海運各社の中間期決算の発表もそれを如実に反映したものとなっている。経済産業省が丁寧な解説まで付ける理由もこの統計の重要性の証左だ。

物流業界に身を置くわれわれは、各種報道の客観性や公正さについて、現場という定規で内容を推し測り、判断するべきだと考える。

切り取られた一部分のデフォルメや、多面の中の一面のみをもっての好況や回復の演出を頭ごなしに批判する気はない。好材料は誰もが歓迎だし、それが頻出すれば好況感も盛り上がるというのは人情として理解できる。

しかし「本当のこと」を知っているわれわれ物流人は、歪曲や切り取りの一部に一喜一憂することはない。なぜなら荷動きや在庫の推移は消費の子であり、その母の具合や動きに敏感だからだ。「実需の実動は物流屋に訊けばいい」と他業界の経営層は物流業界へのヒアリングを励行していただきたい。皆が喜んで協力するはずだ。(企画編集委員・永田利紀)