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オブジェとしてデザインされた「奇抜な宅配ボックス」

2020年11月25日 (水)

宅配ボックス「TOUROU」(出所:D-WEBER)

サービス・商品自動車部品のデザインなどを手がけるディーウェーバー(愛知県安城市)は24日、鈑金加工メーカーのシンケン(同市)と組み、斬新なデザインの宅配ボックス「TOUROU」(灯籠)を発表した。

自ら「奇抜な宅配ボックス」と表現するTOUROUは、暗闇を照らす灯籠のオブジェとしての機能に着目し「見た瞬間から興味が湧く」ことを考えてデザイン。「灯篭がそうであるように、荷物を導き守る存在であり玄関を彩るオブジェと考えれば、すべてのストーリーが結びついた」という。

こうして制作された「奇抜な宅配ボックス」に同社は「開いた時にのみ現れるタワーのような美しい構造物が高い技術力を主張する。その部分こそシンケン社の技術が最も映える部分だ」と説明。

荷物の取り出し(出所:D-WEBER)

宅配ボックスとしての機能については「閉じても開いても美しい、楽しい、面白い、それが最大の特徴だがデザインを最優先しているため大きな荷物は入らないし、宅配業者もこれが宅配ボックスだとは気が付かないかもしれない。気が付いたとしてもどうやって荷物を入れていいのか分からないかもしれない。しかも鍵もついていない。そんな不便さをユーモアとして楽しんでもらえたら嬉しい」と付け加える。

通常のサイズ(高さ1530ミリ×幅450ミリ×奥行き450ミリ)のほかに「ビックリするくらい大きな荷物が入るタイプ」も用意しているという。

同社は2018年からプロジェクトブランドを展開し、瀬戸市の瀬戸焼「宝玉」をカペラシンガポールで、19年には沖縄琉球ガラス村と琉球ガラス「波琉寿」(パルス)でともにアジアデザインプライズを受賞。ことし8月には地元企業と「スチールパイプ椅子リバース」を発表し、素材と技法を活かしたデザインが評価されている。

詳細
https://www.4-design.jp/pg152.html

機能一辺倒から進化

こういう商材の登場を待っていた個配利用者は多いはずだ。不在時受取に際しては、防雨・防塵・防犯機能とプライバシー保護までを備えることが最優先されてきた。その甲斐あって、大いににぎわった第一次の開発・普及材料は出尽くしたと思われる。

次なるは、他の消費財や嗜好品の来し方同様に「機能+デザイン」での差別化が激化するだろう。特に戸建て住宅やビルなどの玄関部では、設置物が与える違和感や異物感を回避したいという欲求が強い。今まで置き配や不在時受取設備の利用に踏み切れていないかった人々の利用増加は、配達効率の向上によるコスト抑制効果に結び付く。

したがって、動機やきっかけはどうあれ、とにもかくにも不在時受取の普及が進展するならばすべて良し、と評価すべきだ。金属・プラスティック・木材などの素材による意匠重視の製品開発は、今後の成長が期待できるだろう。照明や防犯センサーなどとの複合機能品の登場は必至だ。(企画編集委員・永田利紀)