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ジャムコ、シンガポール航空の旅客機を貨物仕様に

2020年12月4日 (金)

▲改修前の客室

ロジスティクスジャムコは4日、航空機の内装改修を手がけるジャムコエアロデザイン&エンジニアリング社(シンガポール)が、シンガポール航空の旅客機の客室を貨物室に切り替える最初のプログラムを完了したと発表した。

航空業界では、新型コロナウイルスの影響で客室下の貨物スペースを提供していた旅客便が大幅に減少し、輸送スペース不足となっていることから、客室を貨物室に切り替えたり、客席の上に貨物を載せたりする航空会社が多く、同社はこれに対応する形で客室改修サービスを開始した。

シンガポール航空との取り組みでは、シンガポール民間航空庁(CAAS)から追加の型式承認を取得した上で、旅客機のボーイング777-300ER機の客席を取り外し、客室の床に貨物を固定する装置を設置。これにより、従来より貨物容量が12%向上した。

同社は今後、欧米向けにサービスを展開することも視野に入れているという。

▲改修後の客室(出所:ジャムコ)

フォワーダーの動きに注目

まずは大賛成であり大歓迎、というのが業界関係者の声だろう。当面は旅客よりも貨物優先の空路や陸路になることは必至で、そのための方策を矢継ぎ早に打ち出す必要がある。画像を見ると、もう少し積載効率を上げられそうなイメージを抱いてしまうが、荷重や安全性担保の条件があるのかもしれない。

いずれにしても、新型コロナウィルスワクチンの空輸が喫緊の課題として目前に迫っているし、その後の世界では空路での物流需要が一層高まるに違いない。世界のサプライヤーとコンシューマーがより近く、より密になるはずだ。

かたやで航空各社の機体問題と並行して、フォワーダーの動きにも注目しておかねばならない。寡占気味で膠着状態と評されてもしかたなかった業界地図の書き換えが少しずつ始まりそうな予感を禁じえない。(企画編集委員・永田利紀)