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自動化と表裏一体のペーパーレス化/解説

2020年12月17日 (木)

話題「業界の事務書類のデータ処理推進」と聞けば、日本郵便がEMS(国際スピード郵便)の事務用紙をデータ化するという取り組みを連想する読者が少なくないかもしれない。(企画編集委員・永田利紀)

伝票完全電子化で削減効果年432万円、ツナグテ調べ(20年12月16日掲載)
https://www.logi-today.com/412341
日本郵便、通関電子データ送信義務化の注意喚起(20年12月8日掲載)
https://www.logi-today.com/411215

(イメージ画像)

具体的な数字を知るまでもなく「大手から順に書類の数は減ってゆくに違いない」と直感している業界人が大半を占めるとしても、ツナグテ社の試算は大いに参考となり有用だ。

庫内作業を最大ボリュームゾーンとして、配車やバース予約、運送の送状類(特に個配分野)などの事務書類や識別用紙・分類用紙の総数はおびただしい。異なる角度から紙社会に引導を渡す役割が期待されるのが「自動化」であり、通信を介して情報がやりとりされる以上、データ共有に紙媒体の出番はない。

事務所で出力した数葉の事務書類をキット化してクリアケースなどに収納し、作業者がそれを取りに来るか、事務職員が現場に持っていくか——といった「作業」は自動化の進む現場に存在しない。

(イメージ画像)

現状では自動化によるコスト効果と回収期間の試算結果を実際に検証できる企業は限られているが、その平均値が統計としての客観性や汎用性を有するようになれば、自動化への道幅は一気に拡がり、通行者の数も増加する。その際には必然的にペーパーレス化が同時進行するはずだ。

おそらくだが、もっとも好感し欲するのは職業ドライバーだと思われる。拠点から離れての業務が日常ゆえに、書類の携行や駐停車してその書類を確認するという動作は煩雑で、ミスのもとにもなりかねない。書類ではなく、車載モニターなどの端末に情報が収納されているほうが有用に感じるのは当然だろう。

行政が予算化するにしても、偏りなく効果的な投資や補助対象を見定める要(かなめ)は最優先の考察事項となる。物流現場に限らず、ビジネスの場には照明器具や机・いすと同等に存在したコピー機やプリンターの役割が徐々に小さくなっていく。それは自然淘汰である。