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日本郵便、通関電子データ送信義務化の注意喚起

2020年12月8日 (火)

ロジスティクス日本郵便は、2021年1月1日から国際郵便物の一部に適用される通関電子データ送信の義務化を前に、8日注意喚起を行った。

21年1月以降に国際スピード郵便(EMS)や国際小包、小形包装物を送る場合には、差出人の住所・氏名・内容物などの情報を電子化した通関電子データを各国の郵便事業体に送信しなければならない。

通関電子データが送信されていないと、郵便物が返送されたり、遅延したりするおそれがある。特に、米国向けでデータの送信がない場合は、米国内法により返送されることが通知されているため、日本郵便はデータの送信がない米国向け郵便物は引き受けない方針。

同社の「国際郵便マイページサービス」と「国際郵便マイページサービス for ゆうプリタッチ」を利用して引き受けラベルを作成すれば、入力した情報が通関電子データとして各国に送信される。

通関電子データ送信の義務化は、テロ対策として世界的に郵便物のセキュリティの必要性が高まったことから、万国郵便連合(UPU)の加盟国が承認したもの。

やっと国際標準化

まさに「遅ればせながら」の感に尽きる。欧米どころかアジア諸国内でもJPのEMS(国際スピード郵便)については通関書類の電子データ化の未整備が頻繁に指摘されていた。同社の発表では「義務化以降は、差出人さまご自身が通関電子データを作成していただく必要があります」とあるが、もとより大口発送者であるEC事業者などは、それを待ち焦がれていたはずだ。負担増への注意書きは、ほとんどの事業者にとって無用だと察する。

先日話題となった中国の「双十一」セールでも、日本国内からの出品者の出荷業務は、長年にわたり他国に比して労力が大きかった。天猫国際や京東における国際小包に添付する単票や連帳の用紙出力と貼付作業の煩雑さは閉口ものだ――とうなずく出品者が大半だろう。京東のように日本からの送付にはEMSしか認められない場合、単票ならプリントアウトされた複数枚一組を重ねて折り畳み、PP袋などに封入して箱に貼付。連続帳票ならもはや希少なページプリンターを用意して、出荷データの行ズレの恐怖に脅かされながらの、出力後の切り離しから貼付までの手作業に甘んじてきた現場作業者は多い。

バーコードシール一枚に必要情報が収納され、現場での出荷作業はそのシールを所定の位置に貼付して終了。ようやくやっと、そんな光景があたりまえになる。(企画編集委員・永田利紀)