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ユニセフが試算

低所得国向けワクチン航空輸送能力、2割にとどまる

2020年12月21日 (月)

▲ヤンゴン国際空港に届いた支援物資(出所:ユニセフ)

国際国連児童基金(ユニセフ)は18日、新型コロナウイルスワクチンの輸送可能量が、これまで同基金が輸送してきた重量の2倍に当たる毎月850トンになる、との試算結果を発表した。

また、民間航空会社を利用することで、コバックスファシリティに参加する190か国のうち、低・中所得国92か国のほぼすべての国に届ける費用が、最大7000万米ドル(72.4億円)になると試算。現在の航空貨物輸送能力が92か国の大半でカバーできる人口は20%にとどまることもわかった。

これらの調査結果を受け、ユニセフでは今後、ワクチンに必要とされる保管温度を考慮して適切な温度に保つ方法を物流担当者、保健員向けに研修プログラムを提供する。

▲コールドチェーン用冷蔵庫(出所:ユニセフ)

併せて、2021年にワクチン、治療薬、診断用ツールを各国に提供するため、4億1000万米ドルの資金を要請。さらに、92か国の国内ワクチン物流と必要なコールドチェーン設備を整える上で、1億3300万米ドルの資金が不足していると推定しているという。

ヘンリエッタ・フォア事務局長は「世界的に承認された新型コロナウイルスワクチンの登場が間近に迫っており、希望の兆しが見え始めている。しかし、希望はワクチンだけでは回復しない。各国は、コールドチェーンやサプライチェーンの能力を強化し、保健員を訓練し、コミュニティと連携し誤情報と闘い、ワクチンへの信頼を築くための技術的・財政的支援を早急に必要としている。緊急の資金と支援がなければ、最貧国の多くが取り残されるおそれがある」と警鐘を鳴らす。

ユニセフでは「主に既存の旅客便、貨物便の輸送能力を活用して輸送される」とみており、一部の小国やアクセスに課題のある国では、チャーター便や代替輸送の選択肢が必要となる可能性があることから、各国の航空会社や物流企業との連携に取り組んでいる。