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ヤマト新中計、24年3月期売上2兆円へ4000億円投資

2021年2月1日 (月)

ロジスティクスヤマトホールディングスは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定した。最終年度に売上高2兆円(21年3月期予想比19%増)、営業利益1200億円(46.3%増)を目指すとともに、向こう3年間で4000億円を投資する。

ヤマト運輸に主要子会社を統合する「ワンヤマト」体制で、データ分析による業務量予測に基づいた経営資源の最適配置を進め、集配と幹線輸送の効率化を図る。またEC事業者との「共創」をさらに積極化し、「物流のエコシステムを創出する経営」へ転換していく。

4000億円の投資は成長投資と経常投資それぞれに2000億円を充てる。具体的には基幹システムの刷新や「EAZY」(イージー)の機能拡張などのデジタル投資に1000億円、物流オペレーションの自動化や作業集約する拠点設置などの建物に500億円、自動化倉庫の展開や医薬品流通などのサプライチェーンソリューション関連機器などに500億円を投じる。

このほか、物流施設の増改築資金として600億円、車両の入れ替え・環境配慮車両の導入に600億円、既存サービス・管理システムの拡張・システムリプレースなどに500億円、荷物の仕分け機器やサービス提供関連設備の入れ替えに300億円を投資する。

EC化する産業構造への布石

公表された中期経営計画にあるとおり、個人・法人を問わない個配市場での先駆者として、一層の市場拡大と深耕を推し進める意思が明確に記されている。戦略の主眼として注目したいのは、産業のEC化を前提としている点だ。

コロナ禍による一時的拡大にとどまらず、終息後の市場においても個配需要の増大は続くという予測には、個配の発送と受領という両側を対象とするサービスの充実が、事業の前途を左右するはず――と読み取れる。恒産恒心よろしく、充実して行き届いたサービスの提供には、社員の意識と能力開発が不可欠であり、さらには各利害関係者との良好なつながりも網羅されて、簡潔ながら読みごたえはある。しなやかさと強さを具備し、脚の運び速く手数多いガリバーの動向に、追随する他社はどのように仕掛けを用意するのか。興味と期待は高まるばかりだ。(企画編集委員・永田利紀)