ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

バルク車セメント輸送、現場向けで待機長時間化

2021年2月3日 (水)

調査・データ全日本トラック協会は1日、粉粒体運搬車(バルク車)によるセメント輸送の実態調査結果を公表した。調査は2019年11月に都道府県トラック協会に所属するセメント輸送事業者220社に対して、経営、ドライバー労働環境、運行実態、運行パターン別の実態などを調べたもので、117社が回答、回答率は53.2%だった。

調査結果によると、回答事業者のバルク車保有台数の平均値は単車が9台、トレーラが7台、単車+トレーラが12台で、単車を保有しながらトレーラを保有していない事業者が5割を占めた。また6割が単車とトレーラ合わせて10台以下の小規模事業者となった。

セメントバルク車で固化剤を含むセメント輸送に常時従事しているドライバーの人数は平均で11人。5人以下の事業者が全体の4割を占めるなど、比較的小規模な事業者が多く、30人以下が全体の9割以上を占めた。

ドライバーの平均年齢は50代の事業者が最も多く(37.2%)、次いで40代(35.8%)、60代(13.9%)となった。平均年齢50代以上の事業者が5割以上を占め、業界全体の高齢化が見受けられた。

ドライバー一人あたり1日の労働時間は、平日で平均10時間。所定労働時間の8時間を超える事業者は91.7%を占めた。時間外労働が発生する理由としては「1日の所定労働時間内で終わらない運送が多いため」が最も多く61.6%、次いで「ドライバー不足のため」が14.3%だった。ほかの回答として「待機時間の発生」や「需要の増減が激しい為、適正人員配置の判断が困難」といったものもみられた。

変形労働時間制を導入している事業者は65.5%あり、その理由は「業務の繁忙期とそうでない時期があり、繁忙期に所定労働時間を集中させるため」が最も多く80.3%。ほかにも「需要の季節的な増大、突発的な発注変更に対応するため」といった回答があった。

ドライバーの年間平均賃金は、単車が404万円、トレーラが485万。厚労省調査による全産業と営業用貨物自動車との年間賃金と比較すると、全産業は502万円で単車・トレーラともに全産業より低くなっている。職種別には普通・小型貨物自動車運転者が419万円、営業用大型貨物自動車が456万円となった。年間賃金が400万円未満の事業者が単車で51.9%、トレーラは23.1%を占めている。

車両の一週間の平均稼働率は、平日がほぼ一定で平均値は78.5%。平日の稼働率の回答事業者の分布をみると80%以上に集中していた。ドライバーの平均稼働率は、車両と同様に平日は一定で87%。平日の稼働率の回答事業者の分布をみると、90%以上に集中していた。

平均走行距離は平日平均で273キロとなり、200キロ以上300キロ未満の運行に集中していた。平均実車率は平日平均で51.1%で、40%以上60%未満に集中した。平均積載率は平日平均92.3%で、90%以上に集中していた。

30分以上の待機時間の発生状況については、積込時に待機時間が発生しているという回答が31.5%で、荷卸し時に発生しているのは46.3%。荷卸時の待機時間の発生が積込時を上回り、5割近くとなった。平日の労働時間から階層で分けると、10時間以上の事業者、待機時間の発生が多くなっていた。

各運行パターンの回答率は、「サービスステーションへの運行」が63.2%、「生コン工場への運行」が90.6%、「工事現場への運行」が70.9%で、「生コン工場への運行」を行っている事業者が多く占めた。一方、サービスステーションへ運行は6割程度と少なかった。

運行パターン別の平均運行距離は「サービスステーションへの運行」が135.7キロ、「生コン工場への運行」が141.6キロ、「工事現場への運行」が126.8キロ。複数の積込・積卸地があるケースは稀で、実態としては一車両貸切りの輸送となっていた。

パターン別の運行時間は「サービスステーションへの運行」が4.1時間、「生コン工場への運行」が4.3時間、「工事現場への運行」が4.5時間。積込地で到着から出発までの所要時間を見ると、30分以上の所要時間が発生しているケースが40%を占めた。待機時間は運行パターンごとに3割ほど生じており、特に工事現場への運行がほかの運行に比べて30分以上、待機時間が発生する割合が多くなっていた。

荷卸地で到着から出発までの所要時間は、30分以上が40%を占め、特に工事現場への運行で発生する割合が大きくなっている(48.1%)。積込地と荷卸地での所要時間と待機時間の平均値については、どの運行パターンも積込地・荷卸地で30分以上は超えないが、一部で長時間の待機時間が発生している運行がみられた。

特に「工事現場への運行」に伴う待機時間は、ほかの運行パターンに比べて長く(積込地平均26.7分、荷卸地平均24.8分)、待機時間の発生率をみても荷卸地では発生率が48.2%と高くなった。

また、30分以上待機時間が発生した場合の平均値は「工事現場への運行」で積込地55分(発生率9.6%)、荷卸地61.8分(発生率13.3%)と、積込地と荷卸地ともに1時間近くの待機時間が発生し、発生率も10%前後とほかの運行パターンに比べて多くなっていた。「工事現場への運行」に伴う待機時間の最大値は、積込地105分、荷卸地120分。

※表示されない場合はこちら