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ブルーイノベ、ドローン災害時活用の実証実験

2021年3月24日 (水)

調査・データブルーイノベーション(東京都文京区)は24日、独自に開発したドローンポートとクラウドを連携させた「災害用ドローンポートシステム」の実証実験を23日に大分県日田市で行った、と発表した。

実証実験は、災害時情報の発信と関係するロケーション間での共有、これに基づくドローン物資輸送の運航を一元運用・管理できるようにするドローンポートの実現を目指したもので、完成すれば災害時に道路遮断などの影響を受けないドローン輸送が、必要最小限の体制・人員で実施できるようになる。「2022年4月以降」の実用化を想定する。

実験の結果、このシステムによって(1)被災地の詳細位置や被災地で必要な物資情報の把握(2)災害対策本部との情報共有(3)救援物資の調達に必要な申請・受理の手続き(3)輸送ドローンの自動運航(自動離着陸と飛行)——を一元管理し、素早く災害対策が支援できることを確認したという。

災害時のドローン物資輸送、安定化と自動化がカギ

災害時の人命救助はリミットが発災から72時間とされており、災害対策本部は発災直後、速やかに安否や避難状況を把握する必要がある。一方、医薬品や通信機器など避難所のニーズに応じた支援物資の輸送体制を構築しなければならず、陸上輸送が困難な状況では災害時物流としてドローンへの期待が高まっている。

また、ドローンによる救援物資の輸送では、関係者が密に連携し、災害時でも安定したドローン輸送が行えるよう離着陸や飛行どの運航を自動化するシステムが求められている。

有効に機能することを実験で確認

同社が開発したシステムは、こうした課題を解決に導くものとして期待されており、今回の実証実験では「大分県日田市で大規模豪雨が発生し、土砂崩れにより道路が寸断」「住民がいる避難所へトラックなどによる救援物資輸送ができない」「コロナ禍の避難所運営に不可欠なマスクなどの感染対策グッズと、高齢者の体調管理のため遠隔診療端末をドローンで輸送する」といった状況を想定。

タブレットで医師と通話しながら、同梱の体温計や血圧計で体調を診断することができるニプロ製の「ニプロハートライン」を輸送した。

ドローンポートシステムはは、折り畳まれた状態のものを被災地で展開・設置し、付属のセンサーユニットが座標データを衛星経由でクラウドに送信、被災地の位置情報を瞬時に関係機関と共有できることを確認した。

また、データから物資輸送場所(着陸地点)を正確に把握し、クラウドを介して必要物資の要請や手配、飛行計画の策定や共有、ドローンの安全運航に必要な風速情報、着陸地点周辺の安全状況の把握など、ドローンの飛行準備段階で発生する一連のオペレーションをシステムで行った。

輸送に際しては、物資輸送拠点から自動離陸したドローンの運航状況の取得・監視、異常発生時の緊急停止措置や人による操作介入、ドローンポートによる自動着陸誘導、着地点の安全を高精度に自動確認する進入検知センサー、テザー機構による物資の吊り下げ、物質輸送拠点への自動帰投など、ドローンの自動飛行や自動離着陸、安全運航に関連する項目も併せて検証。

避難者の多くは高齢者であることから、避難中の怪我や避難所滞在中の体調ケアに対応するため、ドローンで輸送した遠隔診療システムを用いて、地元医院の医師による遠隔診療を実施した。

災害時の情報共有と運航管理が一元化できることを実証

ブルーイノベーションは、2016年から国土交通省や東京大学と共同で物流用ドローンポートの開発を進めており、画像認識による誤差数十センチの高精度着陸が可能なほか、ドローンポートへの人の立ち入りや強風により安全に着陸できない場合に、自動で離着陸を禁止させる機能を備えている。

今回の実証実験では、ドローンポートとクラウドを連携させ災害用に応用展開することで、災害発生時の緊急情報の発信と共有、ドローンによる救援物資輸送の自動運航までの一連のオペレーションの統合運用・管理がシステムひとつで可能になることを実証した。