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オートストア、ソフトバンクが40%の株式取得

2021年4月6日 (火)

M&A自動倉庫システムなどを手掛ける、ノルウェーのロボティクス企業のオートストアは現地時間の5日、ソフトバンクグループ(SBG)が同社株式の40%を28億米ドル(3080億円)で取得したと発表した。SBGはオートストアの企業価値を77億米ドル(8485億円)と評価している。

オートストアはスペースを有効活用する自動倉庫システムがEC事業者などに高く評価され、35か国で600以上の施設に2万台のロボットを提供。ノルウェーに加えて米国、英国、ポーランド、ドイツ、フランス、韓国、日本、スペイン、イタリア、オーストリアにオフィスや倉庫、製造拠点などを設けている。

(出所:オートストア)

オートストアは今回の発表に際し、自動倉庫事業などのさらなるグローバル展開を図る考えを説明。SBGの協力を得て、特にアジア太平洋地域での成長に期待するとしている。ソフトバンクグループの孫正義会長兼CEOは、オートストアの「世界中の企業が迅速かつ費用効果の高い物流を実現できる技術」を評価するとともに、協働による事業の拡大に意欲を示している。

なお、オートストアの株式の過半数は引き続き、米国の投資会社のトーマス・H・リー・パートナーズが保有。SBGは4月中に株式の取得を完了し、オートストアの取締役会に代表者を置く。

渡りに船の投資となる予感

今や投資ファンドの感が強いソフトバンクグループだが、本記事については荷主企業各社は好感一色となりそうだ。

機能性や拡張性についての評判は、すでにずば抜けて良かったオートストアだが、いかんせん「導入企業を選ぶのでは」といった先入観や、初期コストや設置環境など検討段階での敷居の高さのイメージがあった点は否めない。あくまでも「イメージ」としてではあるものの、普及段階ではイメージが大きく戦略に影響することも事実だ。

法人と個人の双方への生活関連サービスに長けたソフトバンクなら、事業者側が接触しやすい工夫を怠らないだろうし、昨今注力している物流サービスの拡大と相乗効果による営業推進も期待できる。

中堅から中小のEC事業者が導入可能な、リースをはじめとするファイナンス一体型パッケージが低コストで市場投入されたなら、一気にシェアは拡大するに違いない。労働力不足を危惧する事業者からすれば、まさに渡りに船となること必至だ。(企画編集委員 永田利紀)