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センコー、上海で低温物流センター開設

2021年4月14日 (水)

拠点・施設センコーグループホールディングスは14日、2社と共同出資する中外運扇拡国際冷鏈物流(上海)が、上海市の嘉定区内に冷凍・冷蔵機能を有する「上海低温物流センター」を開設したと発表した。すでに3月25日から稼働している。

中外運扇拡はランテック(福岡市博多区)、中国の中外運跨境電商物流(シノトランスエア)と設立した合弁会社で、ランテックの冷凍・冷蔵物流ノウハウを活用して中国での低温物流需要に対応。物流センターは2018年11月から稼働している「北京物流センター」に続く2拠点目となる。

新たなセンターはシノトランスエアのグループ会社が所有する倉庫の一部を賃借して改造したもので、延床面積は3830平方メートル。2階建てで、トラックバースにはドックシェルター8基を備え、外気に触れることなく荷捌きすることができる。冷凍・冷蔵設備は日本製の自然冷媒冷凍機を採用し、二酸化炭素排出量の削減にも配慮する。

上海港からは40キロメートル、上海の虹橋空港からは13キロメートルの位置にあり、上海市と近郊の主要エリアを結ぶ高速道路へのアクセスも良いという。中外運扇拡は、新センターの稼働により事業拡大を図るとともに、中国での食品や酒類の輸出入・販売ライセンスも活かしてサービスを多様化する考え。

■「上海低温物流センター」の概要
所在地:上海市嘉定区解放島東環路468号
建物構造:鉄筋コンクリート造・高床式2階建て
延床面積:3830平方メートル(1F冷蔵294平方メートル・冷凍1057平方メートル、2F冷蔵186平方メートル、冷凍2293平方メートル)
主要設備:垂直搬送機2基、ドックレベラー8基、ドックシェルター8基

「Made By Japanese」の潮流に期待

物流関連に限らず、今後のわが国の在り方を示唆する好例ではないかと思う。かつての「日本製」を前面に押し出した品質訴求の方法論は、今後「日本企業による」や「日本人技術者による」「日本仕様に準拠する」と置き換えられて普及する予感に満ちているし、現実に具体化している事例も数多いようだ。

単なる技術提供や共同開発もさることながら、例えば部品や部材の一部提供、JISに代表されるような工業規格の踏襲、応用加工なども有効と思われる。
本記事のような低温をはじめとする温度帯別管理やそれに付随する設備開発と仕様作成などは、まさにわが国のお家芸と自他ともに認めるところでもある。

繊細で精密、正確で耐久性に優れ、コスト寄与にも効果絶大――そのような「日本仕様」の技術輸出や他国での提供は、今後も需要を拡大するはずだ。「餅は餅屋」とばかりに、わが国の役割を全うすることで、国際的な地位と評価は自ずと付いてくるに違いない。(企画編集委員 永田利紀)