行政・団体政府は15日、2021年度から25年度までの日本の物流施策の指針を示し、国土交通省などの関係省庁が連携して施策を推進するための、新たな「総合物流施策大綱」を閣議決定した。コロナ禍によって物流業界のさまざまな課題が鮮明化するなか、(1)簡素で滑らかな物流、(2)担い手にやさしい物流、(3)強くてしなやかな物流──の実現に向けて、KPI(重要業績評価指標)を定めて官民による取り組みを進める。

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「簡素で滑らかな物流」の実現に向けては、物流DXや物流標準化の推進による、サプライチェーン全体の最適化を徹底。ICT点呼やサイバーポートなど各種のデジタル施策を進めるほか、物流施設へのロボット導入など、非接触・非対面型の物流に資する自動化・機械化などを進めて、労働力不足の問題も解消する。
「担い手にやさしい物流」の実現に向けては、労働力不足対策と物流構造改革を目指し、時間外労働の上限規制などによりトラックドライバーの働き方改革を推進。過疎地でのラストワンマイル配送の持続に向け、貨客混載や共同配送の促進、ドローン物流の社会実装化などにも引き続き取り組む。

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「強くてしなやかな物流」の実現に向けては、災害時などにおいても機能する物流ネットワークの構築を実現すべく、「ヒトを支援するAIターミナル」や「スマート貨物ターミナル」など各種の取り組みを推進。国際競争力の強化に向けた国際コンテナ戦略港湾政策や、各輸送モードにおける脱炭素化にも注力する。
今後の各施策の推進に向けては、目標達成のKPIを設定して、定量的に進捗状況を把握。有識者や関係事業者などを交えた評価の場を定期的に設けて、施策の実効性を高める。具体的には25年度までに、物流業務の自動化やデジタル化などに取り組んでいる物流事業者の割合を100%に、これらの取り組みについて荷主と連携している事業者の割合を50%に引き上げるなど、40近くの目標を定める。
■「総合物流施策大綱」(2021年度~2025年度)