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那覇空港の貨物取扱速報が休止、「ゼロ」続きで

2021年8月4日 (水)

国内沖縄地区税関は4日、ウェブサイトで毎月公表していた那覇空港の貨物取扱量速報を、今月発表の7月実績分から休止すると発表した。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、2020年3月末以降は国際線の貨物便と定期旅客便が長期にわたり運休し、同空港における輸出入貨物の取扱量が、ほぼ皆無となっている状況を受けたもの。

速報値の公表は、ANAグループが同空港を「沖縄国際物流ハブ」として以来、10年間以上にわたり継続しており、関係者にとっては寂しい発表となった。沖縄税関は「利用していただいている方々にはご不便をおかけするが、ご理解をいただきたい」とコメントしている。

担当者によれば、国内・国外のLCC(格安航空会社)を含む航空各社へのヒアリングは継続しているものの「いずれも運航再開のめどが立っておらず、各月の速報値の発表に有用性がない」(沖縄税関)と判断した。2020年12月からことし3月にかけては台湾の航空会社の運航便によるわずかな取り扱いがあったものの、4月には再び取扱量がゼロになっている。

速報値の発表は、全日空が2009年に沖縄県との共同事業として「沖縄国際物流ハブ」の構築を開始したことを機に、11年2月に10年の年間分を公表して以来、継続していた。毎月第4営業日に前月分を、毎年1月と7月に半年分を公表していたが、今後は7月と1月のみ、半年分を公表する。なお、沖縄税関は今後も航空各社への働きかけなどを続け、運航状況が改善すれば毎月の発表を再開したい考えを示している。

世界的なワクチン接種で貨物機再就航の日は来るか

同空港については、ANA Cargo(ANAカーゴ)が東アジアの貨物ハブ空港として10年以上にわたり利用し、この間に沖縄発の輸出貨物重量は120倍に拡大。しかし2020年4月には貨物専用機の運航を中止し、ことし1月には需要回復のめどが立たないことを理由に「沖縄県とともに沖縄国際物流ハブの新たなモデルを構築する」と発表しており、貨物機の再就航の見通しが立たないことを示唆している。

ANAグループは今後の「新たなモデル」として、従来の貨物専用機中心の輸送モデルから、全日空の旅客便や参加のLCCのピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)の貨物スペースを活用したモデルへと移行し、アジアなどのEC物流需要を取り込む考え。なお、貨物専用機の再就航については「あくまでも運航休止の継続で、撤退ではない」として可能性を残しており、今後の世界的なワクチン接種がいつ実を結ぶことになるのかが注目される。(編集部・行松孝純)