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物効法認定、7月はモーダルシフト案件が急増

2021年8月18日 (水)

ロジスティクス国土交通省がこのほど発表した「物流総合効率化法」(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)の認定状況によると、同省は7月、新たに16件の物流効率化計画を認定した。分野別の内訳は輸送網集約事業が5件、船舶モーダルシフトが7件、鉄道モーダルシフトが4件で、3分の2以上がモーダルシフトによる案件となる。

このうち明治や日本貨物鉄道(JR貨物)などによる「粉末プロテインの鉄道モーダルシフト」では、岡山県から埼玉県に陸送していた粉末プロテインを鉄道コンテナ輸送に転換し、二酸化炭素(CO2)排出量を70%、ドライバーの運転時間を96%削減する計画。また、商船三井フェリーによる「RORO船を利用した往復船舶モーダルシフト」では、神奈川県と福岡県の間で陸送している冷蔵冷凍食品をRORO船で輸送し、CO2排出量を67%、運転時間87%削減する。

■物効法認定状況(21年4月以降)

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企業がモーダルシフトの実施に関し、計画策定経費や運行経費などの補助を受けることができる同事業については、直近1年間に物効法の認定を受けているか、認定を受けることを前提としていることが応募の要件となる。7月については、いわば認定の“駆け込み需要”があったことになる。

ただし、物流関連企業がモーダルシフトの取り組みを加速させていることに変わりはない。物流効率化推進室は「二酸化炭素排出量の削減と、トラック運転手の働き方改革の両方で効果が大きいモーダルシフトに、引き続き注目が集まっている」との見方を示す。政府が今年度の「モーダルシフト等推進事業」22件に交付する補助金の総額は4300万円に上る。

■21年7月の物効法認定事例(出所:国交省)

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官民による取り組みは今後も加速へ

物効法は、複数の業者による輸送網の集約、モーダルシフト、輸配送の共同化などの計画の認定や、支援措置などを定めた法律で、認定を受けた企業は、税金の減免や補助金の支給などを受けることができる。2016年からこれまでに認定された計画は284件に上る。

認定を受けられる分野は、輸送網の集約やモーダルシフト以外にも「共同輸配送」「中継輸送」「貨客混載」「空コンテナの回送距離削減」「積み置きによる効率化」「3企業間の一貫輸送」「業務の平準化」など数多いが、その割合や件数はいずれも少なくなっている。

そのような中、「輸送網の集約」が圧倒的に多くを占める一方で、近年の世界的な環境意識の高まりや、前述した補助金の後押しなどもあり、モーダルシフトの存在感が増している状況だ。その他の取り組みが、脱炭素化と働き方改革に与える効果ももちろん高いが、今後はより効果が大きいと見られるモーダルシフトに政府も注力し、官民を挙げた取り組みが加速すると見ていいだろう。今後のさらなる施策の広がりを期待したい。(編集部・行松孝純)