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JFEスチール、製鉄所の物流最適化システム開発

2021年8月20日 (金)

荷主JFEスチール(東京都千代田区)は、製鉄の主原料である鉄鉱石について、製鉄所内の物流計画を最適化するシステムを開発したと発表した。鉄鉱石ヤード(置場)の運用計画を最適化することで、物流効率の大幅な向上と安定操業の両立を実現した。製鉄所の構内における物流の最適化により、より効率的な生産体制の構築を推進する。

製鉄所に到着した鉄鉱石は、ヤードに山状に積まれた状態で一時的に保管され、所定の品質を満たすよう配合された後、次工程の焼結機や高炉に送られる。鉄鉱石は産地によって品質や成分が異なるため、それぞれの産地の鉄鉱石が混ざらないように保管される。

ヤード運用効率の考え方(出所:JFEスチール)

 

ヤードの効率運用には、同じ種類の鉄鉱石をまとめて集積し、ヤード内の山数を少なくすることが必要だ。過度に山数を減らしてしまうと、日常のメンテナンスやトラブル時に必要な産地の鉄鉱石を払い出せず、安定した操業に支障が出ることから、ヤード運用の効率性と操業安定性を高度に両立させる取り組みも必要となる。

ヤード運用効率性と操業安定性のトレードオフ(出所:JFEスチール)

JFEスチールは、ヤードの最適運用を可能とする「山配置計画システム」を独自に開発。操業安定性に対する影響が大きい産地の鉄鉱石を分散して保管しながら、膨大な山配置のパターンから山数が最小となるパターンを日単位で選択するアルゴリズムによって、数十秒の計算で、数か月間にわたるヤードの最適な運用計画を作成できる。安定操業を確保しながら、物流効率を大幅に向上させることが可能となった。

既に西日本製鉄所(広島県・福山地区)に、本システムの導入を完了した。今後は、原料炭や他地区への展開を進めるだけではなく、原料購買から次工程への払い出しにいたる原料管理プロセス全体について、全社レベルでの最適化を推進していく。