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国交省、「大阪・関西万博」関連インフラ計画を決定

2021年8月27日 (金)

会場周辺のインフラ整備の構想(出所:国土交通省)

行政・団体国土交通省は27日、2025年開催の日本国際博覧会(大阪・関西万博)に関連するインフラ整備計画を決定したと発表した。万博の円滑な運営を支えるとともに閉幕後の成長基盤ともなる交通インフラ整備に向けた取り組みを推進する。万博会場となる大阪市の湾岸エリアにおける物流ビジネスの動向も左右する施策だけに、業界の注目も高まりそうだ。

27日に開催された「第2回国際博覧会推進本部」で、地元である大阪府と大阪市、関西広域連合などからの要望を受ける形で、万博関連のインフラ整備計画が決まった。

会場となる舞洲地区

計画にあたっては、インフラ整備の目的や方向性を示した「会場周辺のインフラ整備」「会場へのアクセス向上」「安全性の向上」「にぎわい・魅力の向上」「広域的な交通インフラの整備」の5つの柱を設定。開催後の大阪・関西の成長基盤となる交通インフラの機能強化や会場周辺のインフラの整備などの推進により、広域からのアクセス向上や地域の安全性向上などを図るとした。

会場周辺のインフラ整備については、阪神港におけるコンテナ物流の効率化を図るとした。トレーラーの特定時間帯の集中を避けるための分散・平準化や、ゲート処理能力の向上に取り組む。大阪港の北港南地区における国際海上コンテナターミナルの整備では、荷さばき場の拡張やゲート増設による物流機能の強化を図る。阪神高速道路や新名神高速道路をはじめとする道路ネットワークの強化や、南海トラフ巨大地震を想定した堤防耐震化の推進なども盛り込んだ。

万博「跡地」で物流ビジネスを見出せるか

国交省がまとめた万博関連のインフラ整備計画は、物流業界にとっては道路インフラ整備の進展や大阪湾岸での港湾機能の強化など、関西圏における事業基盤を固める好機になるとの期待を抱かせる内容になった。万博や五輪などの国家的プロジェクトの開催に合わせて、周辺地域を含めたインフラ整備が急加速するのは、前回の東京五輪や大阪万博の事例を見るまでもなく明らかだ。

しかしながら、万博閉幕後の会場跡地の全体的な活用計画は明らかになっていない。今後の土地利用については、全くの未知数というわけだ。大阪府などは、IR(統合型リゾート)の誘致場所として万博会場の跡地を候補としているが、想定開業時期は「白紙」であり、物流事業者を含めた一体型開発となるかどうかもまったく見通せない。

万博会場への集客という側面では、インフラ整備の必要性は納得がいく。しかし、万博閉幕後の土地利用方法によって、こうしたインフラの担う役割は大きく変わることになる。港湾機能の強化など部分的な取り組みが進んでも、大阪湾岸に物流機能がある程度集積しないと、こうした施策も最終的に目的を失ってしまうだろう。物流業界は、万博跡地の活用方法をめぐる議論に積極的に関与すべきではないか。(編集部・清水直樹)