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日通、上海発関西向け高速フェリー混載開始

2021年9月27日 (月)

国際日本通運は27日、中国現地法人の上海通運国際物流(上海通運)が上海発大阪・神戸向け高速フェリーを利用した混載サービス「関西特快」の販売を開始したと発表した。

関西特快は上海発大阪・神戸向けにスピードと定時性に優れた特徴を持つ高速フェリーを利用した自社混載サービスで9月18日出航分から発売。上海発の航空便の一時運休・減便に対するBCP対応ソリューションとして売り込む。

上海から日本向けの航空貨物は、上海浦東国際空港の防疫体制が強化されたことで航空会社のフライトキャンセルが相次ぐ中、利用が困難な状況が生じており、上海港からのコンテナ船も港の混雑でスケジュール遅延が顕著になっているため、日通は「スピードと定時性に優れたLCL(小口混載)商品のニーズが高まっている」と判断、BCP対応ソリューションとして上海CFSから大阪・神戸CFSを5日間で結ぶ、高速フェリーを利用した自社混載便のサービスとして開発した。

自社仕立てLCLサービスとなる関西特快は週2便、「新鑑真」「蘇州号」を利用し、上海CFSから大阪・神戸CFSまでを最速5日間で輸送。高速フェリーを利用し、安定したスケジュールで運航する。

新鑑真・蘇州号は隔週で大阪と神戸に交互で寄港しており、大阪に到着する場合は大阪CFSまで、神戸に到着する場合は神戸CFSまでのサービスとなる。

「機動力」を日本物流企業の強みにしたい

日本通運の中国現地法人が開始した、上海発関西向けの高速フェリーを活用した混載サービス「関西特快」。中国の基幹輸出拠点である上海浦東国際空港と上海港で混乱が続き、国内への貨物輸送に支障が出ているなかで、自社混載便の運行を決断した日通グループの対応は、日本の物流企業ならではの輸送品質の高さを強く印象付けたと言える。

海外から国内への輸送の場合、現地の事情を考慮すれば、日本企業はなかなか特別な対応を取りにくいものだ。今回の日通グループの取り組みは、現地法人による迅速な判断と意思決定が、画期的な今回のサービス実現に導いた。上海発の貨物輸送が抱える最大の課題がスケジュール遅延であり、事態の収束には時間がかかるとの判断から、定時性の確保がビジネスの最適解と考えたわけだ。

今回の日通の取り組みで評価されるべきなのは、むしろ「柔軟性」だろう。自社混載便を活用することで、こうした独自のサービスを可能にしたわけだが、そもそもこうした発想がなければ、機動力の高い取り組みは生まれない。品質の高さを売りにして世界で存在感を示す日本企業。それならば、柔軟な対応力も高い品質を示す要素の一つだ。(編集部・清水直樹)