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三井倉庫HDが新サービス、企業リスク対応強化

2021年10月4日 (月)

(出所:三井倉庫ホールディングス)

環境・CSR三井倉庫ホールディングスは4日、顧客のCO2排出量を可視化した上で同社が提供する物流サービスを通じて排出量の削減につなげる新サービス「三井倉庫サステナリンク」の提供を開始したと発表した。

政府がカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させる中、企業活動に伴う気候変動への対応が急がれるとして、荷主が抱える環境対策課題に応じたサービスを提案。環境リスクだけでなく、労働力リスク、災害リスク(BCP)に対応した幅広いメニューを提供することで、荷主のサプライチェーンの最適化を支援する。

(出所:三井倉庫ホールディングス)

三井倉庫HDでは4月1日にESG推進室の新設を発表し、「顧客のカーボンニュートラル」実現に向けたCO2排出量削減をサポートするサービスメニューとして「三井倉庫グリーン・サプライチェーン・プログラム」(仮称)を打ち出していたが、今回の三井倉庫サステナリンクは、グリーン・サプライチェーン・プログラムを発展させて災害リスク、労働力リスクといった幅広い社会課題に対応するものだ。

環境対応は物流ビジネスにおける重要な「評価軸」になってきた

物流事業者の間で、環境対応をビジネスとして展開する動きが広がってきた。三井倉庫ホールディングスの取り組みは、顧客のCO2排出量を可視化するだけでなく、物流サービスを通して削減につなげるところに、物流事業者が掲げる差別化戦略が垣間見える。

そもそも、物流事業者が環境対応を推進する動機は何か。もちろん、事業者が自らの企業価値を高めることによるビジネス機会の創出も、狙いの一つだろう。しかし、政府が2050年までのカーボンニュートラル実現を宣言するなど、環境負荷低減への対応が全産業のスタンダードとなっている今とあっては、もはやそれだけでは業界で生き残るのは難しい。その事情は顧客も同じなのであるならば、むしろ顧客にメリットを提供する形で、環境対応ビジネスを展開するのが、相互にとって利益を最大化できる方策であるからに他ならない。

ましてや、トラックを道路で走行させることで、輸送業務を展開する物流業界は、輸送以外にもさまざまな局面で環境対応の余地が大きい産業と見られがちだ。裏を返せば、それだけ環境負荷低減に取り組むことでビジネス機会を獲得できる「伸びしろ」が大きいと言い換えることもできる。「この物流施設に入居すれば、こんな環境対応が可能になる」。そんな物差しで物流施設の価値が判断されるようになってきている。いわば物流ビジネスの「評価軸」というわけだ。(編集部・清水直樹)