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沖電気、映像AI車両センシングサービスを機能強化

2021年11月9日 (火)

荷主沖電気工業は9日、映像AI(人工知能)ソリューション「AISION車両センシング」の機能を向上し、車線ごとの渋滞状況や降雨雪時の立ち往生車両の検出、四輪車と自動二輪車の同時検出を可能とした「AISION車両センシングVer.2」の提供を開始したと発表した。

道路上で発生しているさまざまな車両走行異常を即時に検出することで、道路の安全管理業務を効率化し、現場の負荷を大幅に低減する。道路の安全管理に携わる自治体や道路管理業者などを対象に、AISION全体として3か年で100億円の売り上げを目指す。

(イメージ)

コロナとの共生社会における移動手段の車へのシフトを背景とした交通渋滞、さらに多発する豪雨災害による道路の寸断、豪雪による大量の車両立ち往生など、道路の安全管理に携わる自治体や道路管理業者などの業務負荷は増加傾向にある。

AISION車両センシングは、道路を走行する車両の計数や速度検知、逆走探知などを行う。今回発売する新バージョンは、上述の道路安全管理の現場における課題に対応するため、ディープラーニング技術を高度化。これまで難しいとされていた誤検出防止機能を取り入れた確度の高い渋滞検知、降雨雪時の立ち往生検知、四輪車と自動二輪車の同時検知を実現した。交通事故や道路の機能不全につながりうる事象をすばやく確実に察知することで、道路の安全管理業務の効率化が期待できる。

従来のAISION車両センシングと同様に、汎用性の高い学習済みモデルを搭載し、AIの知識がない人でも簡単な設定で扱えるのが特徴。さまざまな設置環境において、各種IoT機器と容易に連携できる仕様とした。

▲「AISION 車両センシングVer.2」検出方法(クリックで拡大、出所:沖電気工業)

沖電気工業は、引き続き「AISION車両センシング」を改良し、道路や車両の定量的なデータを提供する仕組みを通して、さまざまな車流の異常から素早く復旧できるレジリエントな交通インフラの整備や「ウィズコロナ」を背景とした渋滞、交通量調査の人手不足など、道路管理の現場で生じるさまざまな課題の解決に貢献していく。

物流業界は自ら先進技術開発に関与すべし

沖電気工業が、車線ごとの渋滞や立ち往生車両などを検知するシステムを開発し、映像AIソリューションの新バージョンとして提供を始めた。こうした道路運行の効率化に向けた社会的ニーズに対応した取り組みが、沖電気工業のような先進システム開発企業を中心に積極的に進んでいる。物流業界は、業務効率化を進めるにあたって、こうした企業のノウハウを共同で開発することで、より実用的な機能を生み出してほしい。

(出所:沖電気工業)

沖電気工業は、プリンターやATM(現金自動預払機)などの主力製品の開発で磨いた技術を、成長領域に水平展開するイノベーション戦略を推進する。今回の開発も、こうした文脈のなかで編み出されたものだ。とりわけ、AI活用技術の開発については、沖電気工業の近年の急速な進化は目覚ましいものがある。

消費スタイルの多様化が進んでいたところに新型コロナウイルス感染拡大が重なり、「新しい生活様式」への対応を迫られる物流業界は、人手不足をはじめとする多くの課題が噴出している。こうした時だからこそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による課題解決を推進すべきなのだが、その新技術開発に、物流業界の関与が今ひとつ弱い気がしてならない。

今回の沖電気工業の新機能は、まさに物流業界にとって大きな業務改善につながるだろう。運行管理業務を円滑にするだけでなく、環境負荷低減などの効果も見逃せない。沖電気工業も物流を成長領域の一つに掲げてイノベーション戦略を推進している。ぜひ、物流企業も一体となって、先進システムの創出に積極的な立場で協力すべきだ。システムの提供を待っているだけでは、最終的に最適な解決は導けない。(編集部・清水直樹)

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