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軽油店頭価格は10週連続値上がり、収束見えず

2021年11月10日 (水)

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調査・データ資源エネルギー庁が10日公表した全国の軽油店頭価格(11月8日時点、1リットルあたり)は、全国平均価格が前週から0.3円上昇し148.8円となった。値上がりは10週連続。

原油価格の高騰に歯止めがかからないうえに、円安で原油の仕入れ値も上昇。まさにダブルパンチの様相で、軽油価格の上値を追う動きは当面続くとの見方が強まっている。東日本でやや落ち着いたものの、依然として全体として値上がりが続いていることから、トラック運送業の経営へのダメージが懸念される水準となっている。

平均価格が最も高かったのは、鹿児島県の158.0円(前週比0.7円下落)で、同県を含め13都道県が150円の大台に入った。上昇幅が全国で最も大きかった高知県では、前週比2.1円高い152.8円だった。値上がりは25都府県、横ばいが9県、値下がりが13道県だった。

燃料高という「逆境」をチャンスと捉えて収束後に備えよう

軽油小売価格の値上がりが止まらない。11月8日時点の店頭現金小売価格は、前週比で10週連続の上昇となった。消費スタイルの多様化や新型コロナウルス感染拡大に伴う経済停滞からの回復で、物流業界は多くの企業で好業績を弾き出しているが、燃料高による収益へのダメージは顕在化しており、価格高騰が長期化するようであれば、経営リスクとして深刻な影を落としそうだ。

11月9日には、全日本トラック協会が斉藤鉄夫・国土交通相と面会し、軽油値上がりへの対応策を講じるよう求めた。軽油価格上昇による負担軽減のため、運賃への適正な反映を荷主企業に働きかけることや、高速道路の割引制度の拡充などを要望。燃料が営業コストに占める割合が高くなり、収益を圧迫している現状を訴えた。

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業界団体の焦りはもっともだ。環境負荷低減の観点からも、効率的な燃料消費につながるルート最適化やアイドリング停止などの取り組みを進めているが、燃料高などマクロ経済領域の動きに対しては、もはや手の打ちようがない。ここは、政府による産油国との粘り強い交渉の行方を見守るしかないのか。燃料価格が高騰した時に燃料課税を一時停止する制度を再開するなど、政治的な対応が求められる局面だろう。これはもはや政治問題の様相を呈しているからだ。

物流企業としては、こうした燃料高という逆境を環境負荷低減に向けた取り組みを推進する機運を高めるタイミングと捉えて、足元でできる効率化の取り組みに注力する時なのかも知れない。年末の繁忙期を目前に不安な毎日だろうが、今はアフターコロナと同様に危機の収束後の「雄飛」を実現するための「雌伏」の時だと考えることにしよう。(編集部・清水直樹)

■都道府県別の軽油価格(単位:円)
地域11月1日11月8日増減
北海道151.6151.4-0.2
青森147.1147.0-0.1
岩手144.5144.50.0
宮城145.4145.3-0.1
秋田148.1148.50.4
山形156.4156.50.1
福島149.9149.7-0.2
茨城143.4143.40.0
栃木145.2145.1-0.1
群馬150.0150.20.2
埼玉142.1142.20.1
千葉144.4144.50.1
東京152.3152.90.6
神奈川144.2144.0-0.2
新潟149.4149.60.2
長野156.3156.2-0.1
山梨149.4149.40.0
静岡149.0148.9-0.1
愛知147.5146.9-0.6
岐阜148.3148.2-0.1
三重147.7147.70.0
富山152.0151.5-0.5
石川147.5147.4-0.1
福井148.2148.50.3
滋賀148.9148.90.0
京都149.9150.10.2
奈良144.9145.70.8
大阪147.1148.91.8
兵庫144.0144.60.6
和歌山145.6145.70.1
鳥取152.8152.90.1
島根149.4149.90.5
岡山145.0145.80.8
広島149.7149.80.1
山口149.4148.6-0.8
徳島141.6141.90.3
香川146.5146.4-0.1
愛媛146.1146.80.7
高知150.7152.82.1
福岡144.5145.10.6
佐賀148.7149.00.3
長崎155.8157.11.3
熊本143.6145.01.4
大分150.7150.70.0
宮崎150.3151.00.7
鹿児島158.7158.0-0.7
沖縄152.6153.91.3
全国148.5148.80.3