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日通、CO2排出可視化によるESG経営支援サービス

2021年11月30日 (火)

(出所:日本通運)

環境・CSR日本通運は30日、国内の輸送にともなうCO2排出量を可視化し、顧客のESG経営をサポートするサービス「エコトランス・ナビ」の提供を開始すると発表した。

トラック輸送が物流の主体となっている顧客に対して、過去の輸送データをもとに現行輸送モードを環境にやさしい鉄道・海上輸送にモーダルシフトした場合のCO2排出量削減効果をレポートで示すことで、脱炭素化に適した輸送モードを提案する。

既に鉄道輸送や海上輸送を利用している顧客には、過去の輸送データからトラックなど他の輸送モードでの輸送を想定したCO2排出量を試算・比較し、現在の「環境貢献度」を可視化する。さらに、国土交通省への物流効率化法申請書や資源エネルギー省への特定荷主定期報告書など、所定書式に計算結果を記載し公的機関への提出書類に活用できることから、顧客の事務作業を軽減する。

▲作成できるレポート例(出所:日本通運)

世界各国の金融当局が参加する「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言に基づき、国内においても2022年4月の東京証券取引所のプライム市場の上場資格として、TCFDに準拠した情報開示が義務付けられるなど、CO2を減らす取り組みや気候変動リスク情報の開示など、急激な脱炭素シフトに向けた対応を推進する機運が物流業界でも高まってきている。

日本通運は、ことし10月にウェブサイトにおいて国内の最適輸送モードが検索できる「ワンストップ・ナビ」を開発。輸送単位ごとに地図データと連携した正確なCO2排出量を算出するサービスを開始した。

このたび開発したエコトランス・ナビは、ワンストップ・ナビのCO2排出量の見える化をさらに進化。顧客の過去の月間・年間輸送データをもとに、日本通運を利用した場合の現行輸送モードと鉄道・海上輸送モードのCO2排出量の差異を可視化し、公的機関へ提出するレポート作成を支援する提案型サービスとした。

日本通運は今回のエコトランス・ナビの提供開始を契機として、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、CO2排出削減に貢献する物流サービスを提供し、これからも顧客のESG経営をサポートしていく。

業界のリーディングカンパニーが課題解決の方向性を率先して示す姿は美しい

物流業界で高まる、脱炭素化の機運。しかしながら、その実現に向けた方向性は漠然としていて、最初に何をすべきか分からない。それが、物流現場を担う事業者の本音だろう。

(イメージ)

日本通運は、そんな業界の苦悩をビジネスチャンスと捉えた。もっとも、トラックだけではく幅広い輸送モードを展開する日本通運だからこそ提供できるサービスなのだが、物流業界をリードする立場として、脱炭素化を促進する意義は決して小さくない。脱炭素化に取り組むためのツールづくりを率先することで、その役割を果たすことができるからだ。

新型コロナウイルス禍などを契機とする国民の消費スタイルの変革は、貨物の小口化や少量多種化を加速するとともに、未曾有の人手不足や業務効率化の遅れなどの構造的課題を浮き彫りにした。そこに環境負荷低減への対応要求だ。

山積する課題に直面する業界のなかで、環境に対する対応策を示したのが日本通運だ。こうした業界のリーディングカンパニーが、まずは課題解決に向けた基盤を示すこと。それは決して間違った姿ではないと思う。(編集部・清水直樹)