ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日通がCO2算出サービス、公的手続きに対応

2021年10月14日 (木)

(出所:日本通運)

サービス・商品日本通運は14日、国内の最適輸送モードを一括検索できる「ワンストップ・ナビ」の提供を開始する。輸送モードごとのCO2排出量を横断的に比較・算出することが可能で、算出されたデータは行政への公的な手続きにも対応していることから、サプライチェーン上のCO2排出量を正確に把握したい荷主企業に適したサービスとなりそうだ。

ワンストップ・ナビは、PCやスマートフォン、タブレット端末から発着地・個数・重量を入力することで、時間や場所を問わずに輸送モードを瞬時に比較・検討できる。

日通は総合物流事業者である強みを生かし、運賃やリードタイム、CO2排出量といった幅広い視点で自社のネットワーク輸送網を駆使した「最適輸送モード」を提案できる体制を整える。

特に、CO2排出量は輸送ごとに異なる集配距離を地図データと連携して距離を計算して正確なCO2排出量を算出。物流業界で初めて第三者機関のSGSジャパンによる検証を受けている。

日通では、ワンストップ・ナビを顧客・案件ごとにカスタマイズしたツール「エコトランス・ナビ」の準備にも着手しており、顧客の輸送実績データをもとに、現行の輸送とエコ輸送のCO2排出量を比較し、コスト削減とCO2削減を組み合わせた営業提案を展開する。

エコ輸送を含めた全体最適の観点でモードの「解」を導く画期的な取り組みだ

日本通運が、最適輸送モードの検索サービス「ワンストップ・ナビ」を始める。CO2排出量の削減を主な切り口に「最適解」を導く取り組みは、脱炭素化の機運が高まる運輸業界で注目を集めそうだ。しかし、このサービスが実効的な仕組みになっていると感じるのは、環境対応だけに着目した最適輸送モード選択ではないところだ。

日通のワンストップ・ナビは、運賃やリードタイムなど、いわば運輸ビジネスにおける「基本」ともいうべきサービス価値を、「最適」な輸送モードの判断基準に含めている。つまり、サプライチェーン全体の最適化という命題が上位概念にあり、そのパラメータとしてCO2排出量をはじめとする各指標があるという発想で構成されている。そこに、現場の地に足が付いた印象を受けるのだ。

政府がカーボンニュートラルの2050年までの実現を宣言するなど、環境対応に向けた取り組みが運輸業界でにわかに高まってきた。当然ながら、環境は将来の経済成長には不可欠なテーマであり、手段であれ目的であれ、もはや避けて通れない命題である。こうした世相において、現実的な視座で輸送モードの最適化を図ろうとしている日通の取り組みは、冷静な目で評価できると考える。(編集部・清水直樹)